モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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淡い色のワンピース、綺麗にアレンジされた髪の毛。変装用としてあんまり役には立たない伊達メガネ。



「隆、隆！」



彼女は走りながらスタジオから出てきた。
俺の元に辿り着く2〜3歩前で躓いてそれを支えてやる。



「お母さんたちもう着いてるって！」

「おう、そうか」

「ヘアメイクさんがこの後ご飯食べに行くって言ったら可愛くしてくれたの」

「似合ってんな」



髪が崩れないように頭を撫でてやる。少し不満げなAは「早く行こう。みんな待ってる」と俺の背中を押した。


**



後日、Aが表紙を飾る雑誌が発売された。
表紙のコンセプトは「華恋」と言うものらしい。確かにあの時のAは髪にたくさん花をつけられていたっけ。


どのページに映るAも可愛くて思わず笑みが溢れる。俺に抱きついての撮ったページ。そこに映るAは一段と可愛く、そして誰が見ても見惚れてしまうほど綺麗だった。



「………好きな人か」



インタビュー記事。好きな人はいますか？との問いに彼女は「いますよ」と答えていた。誰だよソイツ。長い付き合いの俺ですら聞いたことねぇよ。



【どんな方ですか？】
【優しくて大好きです。けど、可愛いって言ってくれたことなくって……】



は？お前めちゃくちゃ可愛いだろ。
どんな奴なんだ、と雑誌を眺めていればルナマナが雑誌を覗き込み「Aちゃんかあいい〜！」とキャッキャッと声をあげる。



「Aちゃんの好きな人はお兄ちゃんじゃないの？」

「は？」

「Aちゃんとお兄ちゃん結婚したらマナのお姉ちゃんになるでしょ？結婚してよお兄ちゃん！！」



いやいや何年先の話してんだよ。
それにしてもルナのやつ、どこからAが俺のこと好きだって思ったんだよ。



「お兄ちゃんはなんでいつもAちゃんに可愛いって言ってあげないの？」

「え？」



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