モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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「お兄ちゃんはいつも"似合ってる"しか言ってくれないってAちゃん言ってた」

「言ってた」



マナも便乗するようにルナに合わせた。
思い返してみれば、いつもAには「似合ってる」としか言ってない。なんというか「可愛い」と素直に言える年齢でないというか。



「待て待て。お前らは、兄ちゃんのいないところでAとなんの話してんの？ルナ、マナ、教えてくれるか？」

「んー、Aちゃんはね〜、お兄ちゃんのこと大好きって！話！」

「それはどういう意味で？」

「これだって！」



手でハート型を作るルナマナに「お前ら、ありがとうな」と頭を撫で回す。ちょうどやってきた八戒に「悪い、ちょっと二人見ててくんね？」と頼むと、「えぇ！今から飯食いにいくんじゃねぇの？」と目を見開く。


そんな八戒の足に二人が抱きついて「八戒、お兄ちゃんはAちゃんに会いに行くのだ」「いくのだ」と言う。



「た、タカちゃん頑張れ応援してっから！！」

「うるせえよ」



外に出て、すぐ隣の一軒家に向かう。
インターホンを押そうと思えば、中から「うぎゃー！！」と叫び声が聞こえ、玄関を開けて中に入った。



「ああああ！！！たたたた隆、ちょうどいいところに！奴が！奴が現れた！！」

「は？」

「奴だよ奴！！」

「誰のことだよ」

「Gに決まってんじゃん！！」



四つん這いでやってきたAに、ぷはっ！と吹き出して笑う。リビングに行けばたしかにそれはいて、殺虫剤とティッシュで退治してやった。


嫌がらせの主犯にやり返したり、目標に向かって立ち向かう姿が誇らしい彼女でも虫はダメなようだ。そんな姿が可愛くて。



「お前、本当に可愛いな」

「え？」



はじめて素直に口にすれば、Aは真っ赤に顔をさせて、口をぱくぱくと魚のようにさせた。その後「は、初めて言ってくれた」と呟いた。



「…………どうしよう嬉しい」

「今まで言ってこなかったからな。これも言わせてほしい」

「な、なに？」

「俺、お前のことが好きだよ」



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