9 ページ9
.
自分のせいで友達(自称)が傷付けられたら、悲しむのが道理ってものなのかな。
守沢が鬱陶しいくらいに落ち込んでいるのは、人として当たり前のことなのかな。
でも、私が嫌がらせを受けるのは守沢のせいじゃない。
教室で目当ての奴らを見つけると、私は一目散に声をかけに行った。
私はこんなことでクヨクヨするタイプじゃないし、やられて黙っているたちでもない。
「ねえ、またあんたらでしょ。上履きに落書きしたの」
「え〜、なんのことぉ?」
下品にクスクス笑い合う2人に一つため息をこぼしてから、容赦なく言い放った。
「コソコソしてないでここに書いてあること直接言いにきたらどう? 度胸もないくせに陰湿なことしかできないから愛しのモリサワクンに好かれないんじゃない?」
「ッ……!」
ピキリと青筋を浮かばせる女どもを見送って、満足して自分の席に着いた。
あいつは勘違いしている。
私が嫌がらせを受ける1番の原因は守沢じゃない。私の性格が悪いからだ。
さすがにこんな陰湿なことをやり返したりはしないが、生憎と口だけはくるくると回るもので。
一度やられればあとは言いたい放題だ。おかげで、当人も周りの奴らも良い気はしてないはず。
さっきの女子たちは言い返そうとして、私が読書を始めたのを視認すると悔しそうに俯いた。
一度本を開けば、一転して今度はガン無視だ。
「ほんと性格悪い。守沢くんはなんでこんなやつと友達なんだろう」
わずかに耳に入ってきたその声には、全くの同意だった。
なんで守沢は私なんかと仲良くしたがるのか。
私との繋がりなんて、あくまで自分のために、ケンカに割って入ったあの瞬間しかなかったのに。
本を開いていても、今日は何だか集中できない。
ホームルームが始まるまであと数分。頭の中は、結局分かれる寸前までシリアスを漂わせていたあいつのことだ。
どうやったら元に戻るんだろう。
悪いことをしたわけでもないのにいつまでも気にされていたら、気持ち悪くて仕方がない。
いっそのこと本当に縁を切るか……と考えて、それはそれで少し寂しいな、なんて柄もないことを考えている自分に気づいた。
「ほんと、調子狂うわ」
突如現れた異分子は、深く根を張って、謎の居心地の良さを発揮しなが私の日常になりつつある。
勝手に付き纏って勝手に落ち込んで……って、ほんとに忙しないやつだな。
なんて、思わず笑ってしまった。
.
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りつ@鉛筆 #アダマリLOVE(プロフ) - 急に失礼します癖に刺さりました。 (2022年8月29日 20時) (レス) @page10 id: 6f6f2e1e89 (このIDを非表示/違反報告)
雪月詠 - 急にすみません大好きです() (2022年7月8日 19時) (レス) @page10 id: ec1ca7135a (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 急にすいません好きです() (2022年7月4日 18時) (レス) @page10 id: 6e1901c539 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とわね | 作成日時:2022年6月27日 1時