孤独に寄る少女ともの好き→その三 (ページ3)

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第百三話ページ3

家についたのは着いたのは夕方の少し前。

「ただいま」

ダイゴだけがそう言って入る。

私も少し足取りがやっぱり重かったけれど

一緒に入った。

「夕飯まで時間あるし、寝てる？」

そう聞かれたが

書き留める作業以外はほとんど寝ていたため睡眠は足りている。

睡眠の質は置いておいて、の話だが。

なので首を横に振る。

「わかった。

ゆっくりくつろいでて」

リビングに通され、

椅子かソファか迷って

ソファにした。

一週間ぶりのダイゴの家であり

しかしそれ以前に滞在時間もそこまで長くないはずなのだが、

懐かしく感じ、落ちつく。

ぼーっと座っていると彼が来た。

「水、よかったら飲んで。

ここに置いておくから」

目の前のテーブルに置いてくれた。

私は彼を見上げた。

そしてまじまじと見る。

「なんだい？」

優しく微笑んで私に問う。

また急に胸がキュッとなって慌てて視線を逸らす。

それでも少し上がった心拍数は収まらないので

そのまま膝を抱えて体躯座りする。

彼は少し不思議そうな表情をしたが

別の話題に切り替えた。

「A、話の続きなんだけど、

どこまで覚えているかわからないけれど

僕は本当に見返りを求めてきみに居て欲しいわけではないよ。

Aといると僕がうれしいし、楽しいんだ。

これが1番の理由」

「私がいるだけで楽しいの？」

「そうだよ」

そして彼は言葉通り楽しそうに笑った。

その笑顔を見てますます胸が締めつけられるように感じる。

それは一緒にいたいけれど

いずれ迷惑がかかってしまうのではないか、という気持ちとの

葛藤のせいかもと思う。

「Aは…いやだ？」

いやなわけがない。

本当は、出来ることならば、

もっと一緒にいたいと思う。

でも上手く言えそうにないから首を横に振るだけになる。

「ねえ、A、

そんな思い詰めたような顔で

今度は何と闘おうとしているんだい」

不意に彼が斜め前あたりに膝をつき

私に目線を合わせてから

私の頭を優しく撫でながら言った。

そこで初めて自分が

今にも泣き出しそうな顔をしていたのだと気がつく。

伝えるべきか否か。

私の気持ち。

振り返ってみると

彼を振りきるために私は孤独という洞窟に潜っていったけれど

いつも彼は懐中電灯で照らしてきた。

加えて外の世界へ連れだそうとした。

さすが石好き。

洞窟は彼の庭だったみたい。