第百話 ページ50
「何を根拠に言うの。
私の気持ちなんてわからないでしょ。
ほら、早く帰って。
フライゴン、送ってあげて」
「そんなに必死に何か隠そうとして…」
ふと、部屋の隅に紙が落ちているのが見えた。
手紙だろうか。
「なに？
それ、だめ、返して！」
慌てて止めるAを制して部屋に入り
手紙を読む。
Aは俯いた。
「……どうしてデボンの名前があるんだい」
デボンコーポレーションをどうするといった沙柚が持ちかけた取引は
彼女の一存で決めたことであり私は承諾していないしするつもりもない。
このような一文があった。
「もしかして…」
「あなたに関係はないから。
早く帰ってって言ってるでしょ」
「でもAもこれから出るのだろう」
彼女の父親からの手紙にはそう書いてある。
「なら、一緒に帰ろう」
手をAに伸ばす。
しかしAは首を横に振る。
「ここでお別れよ。
私、またホウエンを出ることにしたの」
「そうしてまた一人になるつもりかい」
「一人じゃない、私にはポケモンがいるから」
「昔に逆戻りするのかい。
本当にそれでいいと思っているのかい」
Aの言葉を待つ。
反論がすぐに飛んでくると思ったが目を伏せて考えこんでいるだった。
それから顔を上げる。
その目には涙が溜まっていた。
「だって、仕方がないじゃない。
あなたといると私は人間になれる気がするけれど
でもそれがつらい。
ここにいるときも苦しかった。
前の私だったらこんな思いしなかったのに。
だから…」
「つらかったね」
こぼれてしまった涙を指ですくう。
「でもまた変わることから逃げるのかい。
あのね、人は苦しいときや悲しいときは支え合う生き物なんだよ。
でね、僕はAの支えになりたいって思うんだ。
だめかな」
「私は誰の支えにもなれない。
期待にも応えられない。
返すものは何もないわ。
どうして私にそんなこと言うの」
「見返りを求めているわけでも期待でもないよ、お願い。
理由、は…」
そのときふらっとAの体勢が崩れる。
「おっと」
とっさにAの腕をつかみ、よろけた身体を受け止める。
「大丈夫？」
「ん……へい…き」
返事はしたものの、意識は朦朧としているようだ。
肩に手を置いて聞く。
でもその肩も小さく骨に直接手が触れているようだった。
「とりあえず、うちにおいで」
無事お姫様を奪還した 笑
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猫好き - 親父いいいい！婚約の雰囲気あざーーっす！ (2018年12月25日 11時) (
レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
白黒龍 - 私は1です。続きが気になります。 (2017年8月10日 11時) (レス) id: c6354e9b33 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - 私は1かな…続きが気になって…！ (2017年8月8日 0時) (レス) id: 69ba82f80a (このIDを非表示/違反報告)
アユミ(プロフ) - 私は、１で、続きがとても気になるのでまだ続けてほしいです。 (2017年8月6日 20時) (レス) id: d27fc7ca9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃々 | 作成日時：2017年5月6日 21時
