正しい愛情

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Aside

私が物心付いた頃からこうだった。

父親も母親も毎日帰りが遅くて、

父親が

「珍しく早く帰って来た!」

って、思ったら暴力を振るわれた。

軽い時は1発。

ひどい時は気を失うまで殴られた。

殴ってもバレない体を狙って...


(何思い出してんだろ)


もう終わった話なのに、何故か思い出す。

消えるはずも無いのに、

あざを擦ってみたりもする。

バカみたい。

すぐに環境が変わるなんて可能性無いのに。

あんな昔話を忘れるために

ササッとお風呂に入って、

自分の部屋にこもり

今日描いた絵をファイリングする。

そう言えば、絵を描き始めたのも

あの頃だった。

静かにしないと殴られたから、

小さかった私は絵を描くぐらいしか

やることが無かった。

ゲームなんて買ってもらえなかったし。


(それにしても、たくさん描いてるな...)


今までに描いた絵をファイリングしてある

ファイルを眺めながら思う。

最初は暇潰しのつもりだったのに、

今ではファイルが30冊近くになってる。





私の数少ない自慢の1つだ。

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