(241)【第五層】コンビネーション ページ8
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続けて目の前にいたネズハに、音量を落として指示する。
リゼ「壁際は隙間が大きいからラインを避けやすい。動きが止まったら、チャクラムで天井の顔のデカ紋章を狙ってみて」
ネズハ「り、了解です!」
頷いたネズハが、最寄りの壁際まで走る。めまぐるしく動いていたラインが、徐々に減速し始める。今度は、近くにいたヒットを呼んでから作戦を伝える。
リゼ「私がわざとラインを踏むから、ソードスキルで攻撃の準備を!」
ヒット「解った」
返事を聞きながら、床のラインを注視する。
せっかくタンク主体のA隊、アタッカー主体のB隊という編成をしたが、フロアボスがこのまま変則攻撃を続けるならフォーメーションを固定するのは逆効果だ。
各自自由に動いて床のラインを回避しつつ、反撃の機会を窺うしかない。
黒い床を滑り回る無数のラインが、速度を落とし…更に落とし。
リゼ「…行くよ!」
叫びながら、私は右足で意図的に一本の線を踏んだ。
まるである種の生物であるかのようにラインが反応し、私の足元にターゲットサークルを描き出す。それが固定した瞬間、思い切り飛び退る。
ごばあっ!と空気を引き裂いて、目の前を黒い腕が通り過ぎた。それを、二方向から私とヒットが取り囲む。
すかさず愛剣を振りかぶり、同士討ちを避けるために縦二連撃《バーチカル・アーク》を発動させる。ヒットも技名は知らないが短剣による三連撃を繰り出す。
ちらりと見上げるとHPバーが確実に減少していた。
傷ついた腕が床に沈み、再びラインがめまぐるしく動く。同じアクションの準備をしながら、先程喰らったデバフアイコンをちらりと見るが、まだ点滅し始める気配はない。
効果時間が案外長いことに唇を噛んだ時、天井に動きを感じて見上げると、ボスの顔が口を大きく開こうとしているところだった。
またあの雄叫びがーしかもまず間違いなく別のデバフつきで襲ってくると予感し、無駄と知りつつ身構える。
だが、ボスが吠えるよりも一瞬早く、銀色の光が宙を駆けた。軽やかな音を響かせて飛ぶのはネズハのチャクラムだ。
見事なコントロールでボスの額に当たると、巨大顔は怯んだように口と目を閉じながら少しだけ天井に引っ込む。
ベータ時代とは何もかもが変更されたと思われたが、額の弱点だけは残されたようだ。デバフボイスをキャンセルできるだけで相当楽になる。
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9人がお気に入り
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りりか@(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます! (2021年1月4日 20時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
りりか@(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます!頂きます! (2021年1月4日 20時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 続編おめでとうございます!今年もコロナも気を付けて頑張って下さいね!無理しないで下さいね。コメントですけど、暖かいシチューどうぞ。(優しい笑顔) (2021年1月4日 16時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます!! (2021年1月4日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
りりか@(プロフ) - 雪華さん» ありがとうございます! (2021年1月4日 15時) (レス) id: 94b1bb8aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりか@ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2021年1月4日 12時