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「ごめん琳寧‥」
呟く克樹の背中を黙って見送った。
「ふたり」が終わっても、明日からもずっと仲間で。
そうする事しか許されないように思って。
それでも克樹の事も克樹をさらった奴の事も、嫌いになんかなれる訳もなくて。
ただ幸せを祈った。
一番近くで、でも心は無理矢理に遠くに置いて、そっとふたりを見守る事にした。
最初は幸せそうに見えた。
琳寧には見せない蕩けるような瞳の克樹を見て、「これで良かったのかな」って思うようにした。
でも段々と克樹から笑顔が消えた。
大きな瞳いっぱいに涙を溜めた克樹の髪を撫でる細い指に、心が引っかかった。
レッスン場の隅と隅。
壁にもたれかかった短い休憩の間。
克樹と目が合った。
お互いにちょっと笑う。
それは仲間としての笑顔。
でもその後に克樹は声に出さないで唇だけで
「りんね」
って言った。
それが克樹からのSOSのように思えて、いてもたってもいられなくなった。
パズルのピースが繋がるように、色んな事に気づいた。
あいつが琳寧を見る時の苦しそうな表情の訳も、
克樹が涙を堪えてあいつを見る訳も、
琳寧が原因だってようやく気づいた。
それでもあいつが好き？
終わった筈の琳寧との事、気にし続ける奴の元で幸せになれるの？
琳寧だったら、克樹を傷付けたりしないのに。
「琳寧のとこおいで」
たまらなくなって克樹の手を引いた。
琳寧の名前を呼びながら泣き出した克樹を、全部全部受け入れるつもりで。
克樹は苦しそうに泣き続けた。
「琳寧‥琳寧‥」
琳寧の名前を呼びながらいつまでも泣いていた。
それから絞り出すようにようやく言った。
「矢花と居ると琳寧の元に帰りたくなるのに、琳寧と居ると矢花が恋しい‥」
克樹の悲しい、悲しい叫び。
克樹は子供みたいに泣きながらベッドに突っ伏した。
克樹ってほんと馬鹿だな。
そんな事口に出しちゃ駄目なのに。
正直すぎるよ。
上手くやればいいのに。
上手くやって楽になる道、選べばいのに。
なんでそんな事正直に口に出しちゃうのかな。
でも克樹も、そんな風にしか生きられないんだろうな。
琳寧もこんな風にしか愛せないや。
前も、克樹が戸惑ってるうちに全部自分のモノにしてしまえば良かったのに。
今だって、無理にでも取り戻してしまえば良かったのに。
克樹の手が、心が千切れてしまうのが怖くて離してしまう。
琳寧も馬鹿だな。
嫌になるくらい。
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りぷる(プロフ) - 39さん» 心配していただいてありがとうございます。消す消す詐欺みたいになってしまってなんだか恥ずかしくなっています（汗）ライブで元気そうと言うレポや嶺亜さんのブログを読んで少し気持ちが前向きになれました。皆さんの優しさに感謝してます。39さんもご自愛くださいね。 (2022年8月7日 19時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
39 - 先日感想を書かせていただいたばかりなのにこんなことになってしまって、なんと申し上げていいかわかりません。ただ、りぷるさんの書かれたものは私を優しい気持ちにさせてくれるものばかりで出来れば残しておいていただきたいです。今はどうか心身ともにお大切に。 (2022年8月7日 14時) (レス) @page40 id: 0f338db0b1 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 奈々さん» こちらこそ読んでいただいてると思ってなかったので、驚きと同時に緊張してきました（汗。笑）暖かいお言葉ありがとうございます。奈々さんの作品にもまた出会えますように。 (2022年8月6日 14時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
奈々(プロフ) - まさか自分の作品を読んでいただいてると思ってなくて今少し動揺してます笑。ゆっくり気持ちが回復したら、りぷるさんのタイミングでまた書いてくださるのをお待ちしております！ (2022年8月6日 2時) (レス) id: 514e0f8434 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 奈々さん» 自分の書いた物にも嫌悪感が出てしまって、消した方がいいのかと一時悩みましたが‥皆さん暖かい言葉かけてくださって‥ありがとうございます。わたしもいつかまた奈々さんの描く可愛い克樹くんに会えるといいな、と思っています。 (2022年8月5日 7時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2022年1月21日 21時
