黄緑 1 ページ25
そうやっていつまでもグズグズと泣いてたらいいよ。
気持ちに応えられない、って言ったきり泣いてばかりで次の言葉が続いてこない。
泣いたきり相手の出方を待つのは卑怯なやり方だ。
泣いたまま、
「分かった」
‥そう俺が言うのを克樹は待っていた。
克樹に、
「付き合おっか」
って言った。
正直、後先考えて言った訳じゃない。
でも、信じていた。
克樹だって、俺を好きだって。
「気持ちに応えられない」
そう言って泣かれるとは思ってなかった。
この世界の事、何も分からない少年時代から一緒だった。
声変わりだってしたかどうかの頃。
まだ克樹と仲良くなる前、
やたら俺の顔見てくる変なヤツ。
そう思ってた。
その内話するようになって、
すぐ顔赤くなるヤツだな。
って思った。
頭良いみたいだけど、ふわふわした話し方でかわいい。
克樹からの呼び方が「嶺亜くん」から「嶺亜」に変わっても、その印象は変わらなかった。
同じ夢を目指す仲間になって、いつも隣に克樹が居るのが、当たり前になった。
暇があればふたり集まって、夢を語った。
何時間も喋って熱くなって泣きそうになる克樹を見て芽生えた感情を、ずっと胸に封じ込めてきた。
「いとしい」
その感情にはその名前がぴったりだって、何年も経って気付いた。
「克樹」
名前を呼べば、仔犬みたいな瞳で側に来る。
それが嬉しくて何度も呼んだ。
「嶺亜」
舌ったらずな甘い声で呼ばれると、ホントは嬉しかったけど、ワザとしかめっ面してやったりもした。
克樹の黒い瞳がうるうると俺を見つめるのを見る度に、克樹も俺と同じ気持ちでいると信じて疑わなかった。
克樹が、あれからどんどん痩せていった。
気持ちに応えられない、と泣いた夜、から。
その後も二人だけで出掛ける事は無くなったけど、みんなの前では相変わらずだった。
相変わらず肩にもたれて笑ったり、頭撫でたり、冗談に小突いてみたり。
二人とも、上手に心を隠せていた、と思っていた。
でも、克樹は静かに心を削いでいたみたいだ。
最初の内こそ「痩せてかっこ良くなったじゃん」なんて言ってたけど、ある時痩せ過ぎに気がついた。
「お前‥ちゃんと食ってる？」
こんなセリフ克樹には初めて言ったけど
「ん」
短く笑って流された。
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りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無し様。いつもキュンキュンしながら読ませて頂いてます！お互い更新頑張りましょう！ (2021年8月14日 0時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - りぷるさん» ええ！！まさかりぷる様が見てくださるとは……めちゃくちゃ嬉しいです泣 お互い更新頑張りましょうね！ (2021年8月13日 23時) (レス) id: 8d128bf771 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - はじめまして！素敵なメッセージありがとうございます！名無しさんのファンなのでコメント光栄です！こちらこそ参考にさせていただいてます！新参者ですので色々教えてください！こちらも更新楽しみにしてます！ (2021年8月12日 23時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - はじめまして。検索をかけたらりぷる様の作品がヒットして全部読み漁りました笑 個人的に白緑が好きなのでめちゃくちゃ嬉しいです。文章とか作品の書き手(?)としてすっごい参考になります。無理せず更新なさってくださいね。楽しみにしてます！(^^) (2021年8月12日 21時) (レス) id: 8d128bf771 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - はじめまして！素敵なコメントありがとございます。初めてコメントいただきましたので、すごく嬉しいです！拙いお話ですが、また更新しますのでお読みいただけると嬉しいです！ (2021年8月12日 11時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2021年8月7日 21時
