標的256 帰宅 ページ18
・
「もう頼むから、二度とあんな無茶しないで。」
「うん…わかった。」
「君がいなくなって悲しむ人間が沢山いることを頭に入れておいて。」
「うん…ありがとう恭兄。」
恭兄は私から離れると頭を撫でた。
「でも、ありがとう。僕の為に戦ってくれて。」
「ううん、結果的に恭兄に心配かけただけだったし。」
「それでも気持ちは嬉しかったよ。ただ本当、これからは気をつけてね。」
「ん、わかった。」
すると背後から人の気配を感じた。
「よっ、話は終わったか？」
「あっ、ディーノ！」
現れたのは10年後のディーノだった。
「ははっ、ったく、あんま兄貴に心配かけんなよA。」
「うっ、聞いてたのかよ。」
私は涙を拭うとムスッとした。
「でもまぁ、つくづく恭弥は妹には甘いな。」
「咬み殺すよ跳ね馬。」
「お、おい、まだAもいるのに武器構えるなよ。」
「あっそっか、2人も修業中なんだね。じゃあAはそろそろ行くよ。」
「え、あ、いいのか？恭弥。」
「何が？僕はAとの話はもう終わったよ。」
「いや、そうかもだけど久しぶりに会ったんだろ？」
「Aが行方不明だった謎もここに来て解けたし、今は元気なこの子の姿が見れたからもういいよ。それに、待たせている人もいるだろうからね。」
恭兄は屋上の入り口にチラッと目をやる。
「ベルフェゴールか。熱いなお前ら。」
ディーノは私を見てニヤリと笑った。
「はは…じゃあ行くね恭兄、ディーノ。修業頑張って！」
「おう！またなA。」
「変なことされたらすぐ僕を呼ぶんだよ。」
過保護兄貴め…。
だけど、本当にAは幸せ者だなぁと実感する。
「本当…問題は一つだけ…。」
私の頭に両親の姿が浮かび、一瞬表情が暗くなる。
私は屋上を出て階段を降りた。
「お待たせベル。」
「兄貴と距離感近すぎ。」
ベルは私にデコピンした。
「いっ…たいなぁ！！」
「痛くねーだろ。」
「ふふ、痛くない！」
「うぜー、ししっ。」
ベルは学校を出ると私を見つめた。
「んじゃ、そろそろ大事な話すっか。アジトに戻るぞ。」
「え？あ、うん。」
そういえば外に出る前、まだ話さなきゃいけないことがあるって言ってたな。
私達はアジトに帰った。
「ん、こっち。とりあえず今借りてる俺の部屋、ここね。」
「ほう。」
私はベルの部屋へ案内されると中に入った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちゅろ | 作成日時：2019年5月17日 11時
