標的249 窮地 ページ11
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幻騎士は剣を振り上げる。
「すぐ楽にしてやろう。」
私は右肩を押さえ、膝をついたまま幻騎士を見上げた。
ああ、ここまでか…。
幻騎士が剣を振り下ろすと私はそのまま斬り裂かれてしまった。
「…っ！？がはっ…！」
「ハァッハァッ…油断したな馬鹿眉。」
私は幻騎士を背後から切り裂いていた。
幻騎士が斬ったはずのものはアルファの分身だった。
「どういう…ことだ。確かに今何かを斬った手応えはあったぞ。」
「目が見えないお前はAの殺気などを頼りに場所を把握していた。だから、弱点を攻撃され弱ったAはあえて殺気や恐怖心をダダ漏れにした。」
「…っ。」
「そうすることで油断させ、後は斬られるギリギリにAは気配を消して隠れ、囮として殺気や恐怖心をダダ漏れにしているペットのコピーを置いた。」
「ペットの…コピーだと？」
「そう、このフィールド自体、元々はAの可愛い可愛い狼達だからね。その中から狼の姿を形どった分身を1体出してもらったの。」
「なるほど…してやられたというわけか。」
だがまだ終わりじゃなかった。
「よく言うよ。それでもギリギリに気づいて傷を浅くしたの知ってるんだぞ。」
「フッ…そうだな。背中を少し斬られたが、深くもないから致命傷にもなり得ない。お前のチャンスはこれで終わったということだ。」
確かに、もう一度同じ手が通じる相手とは思っていない。
それに、私の右肩からは再度大量の血が吹き出しており、体の限界はもう見えていた。
すると幻騎士は私に攻撃を仕掛けてきた。
「ちぃ…っ！！」
私は避けながら応戦したが、彼の動きは先程よりよくなっていた。
「うっ…くそ…っ。」
「どうした、どんどん動きが鈍くなっていくじゃないか。」
「そりゃ、お前がどんどん傷をつけてくるからな…っ…ハァッ…。」
彼はニヤリと笑っていた。
「何でさっきより動きが良くなってんのさ…っ。」
「お前から感じる血の匂いが鮮明になったことにより位置を把握しやすくなったからな。」
それだけでここまでやれるか？普通。
目見えてないんだぞ。
私は立っているのもやっと…という状態まで追い込まれていた。
「くっ…ハァッハァッ…。」
「どうした？ここまでか。」
「そう…だね…ハァッ…もう限界だ。だから…ハァッハァッ…これが最後の足掻きだ…っ！！」
私は出せるだけの炎を全て使い、雲の爪を強化した。
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作者名：もちゅろ | 作成日時：2019年5月17日 11時
