11話 ページ12
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キバナ「ハァッ?! 一緒に寝、寝たっ?!」
ジムのトレーナー室に俺の叫び声、いや、
咆哮が響き渡る。
可愛いトレーナーたちが驚いた顔でこちらを振り返ったのが
視界の端に見えた気がしたが、
気にする余裕はなかった。
目の前の忌々しきチャンピオンは
さも当然かのようにコクリと頷く。
キバナ「ま、まさか同じベッドに…」
ダンデ「間にタマゴがあったぞ」
キバナ「おっまえ〜!そういうところちゃっかりしやがって…!」
ダンデ「何を怒ってるんだ?」
いや、分かっている。
こいつは根っからのバトルバカ。
やましい下心なんてひとつも無いのだろう。
だからこうも平然とした顔で
「Aが俺の部屋に泊まった」なんて話し始めるのだ。
ダンデ「それに始めてじゃないしな」
キバナ「は?! キバナ様そんなの聞いてねぇぜ?!」
ダンデ「言ってなかったか…?
嵐が酷い日に見かけたら泊まってもらってたぞ」
キバナ「まじか…」
ここのところ秘密の特訓で色々なエリアを
散策していた間にダンデのやつ、なんてことを…!
男女で寝るなんて、何が起きてもおかしくない……んだが…
キバナ「ダンデとAが寝てるなら特に問題ない気がしてきた」
ダンデ「そうだろう?ソニアにもかなり叱られたんだがな」
キバナ「それ世間一般の大切な意見だから」
ダンデ「そうか?」
こいつにとって恐らくAはホップとおなじ、
妹のような存在なのだろう。
なんやかんや面倒見がいいというか、極端に優しいというか。
キバナ様がAと一緒に寝たら
一体何ヶ月炎上騒ぎになるのだろう。
いや、チャンピオンが女性と一夜過ごすだけでも
かなり危なっかしい。
ローズさんがなんと言うのやら。
キバナ「ダンデ…まぁ、その、気をつけろよ?
お前がそんなつもりなくてもさ、
世間は恋人なのかどうなのかとか色々気にしちゃうわけよ」
ダンデ「そういうものなのか…」
キバナ「ま、優しさからっていうのは俺もわかってるし、」
ダンデ「けど、そう思われてもAとなら俺は困らないぜ」
不意に顔を上げたダンデの真っ直ぐとした視線がぶつかる。
あまりにも予想外な返しに、情けなくも言葉が途切れてしまった。
キバナ「…言ってる意味、分かってる?」
ダンデ「? あぁ」
キバナ「ダンデ」
ダンデ「ん?」
キバナ「俺とバトルしろ!」
ダンデ「おっ!いいな!やろう!」
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作者名:曙ぼあ | 作成日時:2023年9月11日 21時