結局人間顔ですか？２

第２９話 ページ10

「はあ」

「仕事中にため息とはどうしたんですかぃ？」

仕事中でさえ考えてしまう。私はよっぽどぼーっとしてたんだろうな。

沖田総悟に真後ろに立たれたことにさえ気づかなかったなんて…。

「無防備すぎやしやせんか？背後、取られてますぜ？」

「…はあ、いきなり背後に立つのはやめてください。驚きます」

「そういうことはもう少し驚いた顔をしてから言ってくだせぇ」

「これでも驚いてます」

驚いてるっていうか今すぐ離れてほしい。むしろ私の半径５００ｋｍ以内に入らないでほしいわ。

「で、何かあったんですかぃ？」

「あったにはありましたけど、沖田さんには関係のないことですから」

私が真選組からいなくなろうと関係ないだろうし。

でも、なるべく早めに決断しなくちゃ。もし晋助についていくってなったら近藤さんに言わなきゃ。

せっかく雇ってもらったのに申し訳ないから、もしいなくなるならなるべく早めに。。。

「総悟てめぇ何サボってんだ？」

「げっ土方さん」

「げってなんだ。なめてんのかてめー。とにかくこんなところで油うってないでとっとと見回り行け」

「へーい」

沖田総悟はあきらめたかのように返事をし、見回りに向かった。

「で、総悟が言う通り何があったんだ？ため息多いぞ」

「立ち聞きしてたんですか？趣味悪いですね」

「偶然だ」

「…少し悩み事があるだけです。土方さんにもほんの少しだけ関わるかもしれないので決めたらちゃんと言います」

「何の話だかわからねえが勝手にいなくなるなよ」

「そんなひどいことはしませんよ」

そんな恩を仇で返すようなことはしないよ。沖田総悟だけなら別にいいけど土方さんや近藤さんにはお世話になってるからね。

「ならいいけどよ」

「はい、心配かけてすみませんね」

「悩んでんなら誰かに相談した方がいいぞ。…万事屋の野郎とかな」

「ふふっ、そうですね。アドバイスありがとうございます」

悩み事は誰かに相談した方がいい。よくそんなことを言うけど相談してどうにかなる問題じゃない。

大体の悩み事は全部そう。

誰かに話したところでその人が解決してくれるわけじゃない。

心の負担が軽くなるともいうけどそんなの迷信だと思う。

結局どんな悩み事だって決めるのは自分。結局最後は自分で決めなきゃいけなくて、だったら相談なんてしなくてもいいじゃん。

わざわざ自分から弱いところを見せる必要なんてどこにもないんだから。

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