〈HQ!〉罪状。【赤葦京治】《完結》 (ページ2)

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No side
私の目の前のおじさんは言った。私には、時間があると。なんのことか分からなかったが、話を聞けば直ぐに理解した。

貴女は、自分で自分を殺した。

けれどそれは、貴女にとっては特別なことでは無かった。

いつも、いつも我慢していたから。

何ら、特別なことでは無い。

当たり前のように、呼吸をするように。

1つの我儘でさえも、自分自身には許されないことだと。そう思っていたから。

貴女は、自らを穢れている人だと名乗った。

そう言えば言う程に。綺麗になっていくことも知らず。

貴女は、どこまでも純粋で、無垢で、愚直だった。

いつも他人ばかり優先して。

そんな貴女は、重罪を犯した。

貴女は、最後の最後で自己を優先してしまった。

1番、大切なところで。

それは、貴女が大切にしていた人を、貴女が愛した人を。何も言わず、何も残さずに。

置き去りにしてしまったこと。

貴女自身が愛した人は、終わることのない罪悪感と一生拭えることの無い責任感の海に溺れていくばかりだ。どうか自分を責めないで、そう願ったのは貴女自身であったはずなのに。

貴女が大切にしていた人達は、何も知らないでいたという罪悪感と、明けることの無い深い夜へ放り投げだされてしまった。

これが、貴女が犯した罪だ。

どうやって償うのじゃ？

なんて、

貴女はまだまだ子供だったな。

そうやって、全て自分自身が我慢すれば全て上手くいくと。全て円滑に行くと。

そう信じ、全て自分が背負えばいいと。背負わなくてもいいことも背負おうとしたから。

結局は、背負いきれずに全てを投げ捨ててしまったから。

この考えの時点でまだまだ子供なのだ。
何も知らない、森を彷徨う無垢な子供だ。

貴女はそんな自分自身を1番嫌っていたな。

簡単に言えば。貴女はまだ、あそこ(地上)に未練タラタラであろう。

そこで機会をやろう。

貴女が大切にしていた人達を、愛した人達を。

あの世界で、少し遠くで。

羽をもって彼らの行く末を見守ってやりなさい。時間内であれば、いくらでもな。

軽いこの羽で、どこまでも自由に。

勿論条件は付けさせて貰う。

タイムリミットがある。そのタイムリミットを過ぎれば、貴女は一度地獄へ行くことになるぞ。その地獄は数ある地獄の中でもトップを誇るほどの極刑が待っているが…

嗚呼。その恐れのない瞳。

その目は、もう答えは決まっておるな。