〈HQ!〉罪状。【赤葦京治】《完結》 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:501 hit

罪ページ1

きっと、貴女は優しすぎたのだ。

それ以上に真っ直ぐで、純粋すぎたのだ。
周りの人の全ての悪を赦し、全てを余すことなく信じてしまったから。

今更知ったって意味ないんですよ、Aさん。

貴女はこの世界で生きることが似合わない人だった。
貴女はこんな所では生きていけなかった。
貴女がこの世界で生きるには、周りの人間という人間が穢れすぎていた。
勿論、俺を含め。

それかやはり、周りが穢れた人に見えるほどに、貴女が無垢で穢れを知らない人だったのだろう。
貴女は身も心も性格も、天界から降りてきた、天使のような白さをしていたから。

そんな御伽噺(おとぎばなし)のようなことがあったんだとしたら。

貴女が本物の天使であるのならば。

きっと、堕ちてきた貴女を今頃迎えに来た天使が連れて行ったのだろう。

そう言われればいくらでも納得出来たのだから。
天界とこの世界とを行き来出来るようにして欲しい。そうすればまた会えるから。

まだ、貴女とやりたいことがあるんです。
貴女とやり残したことがありすぎて、ずっとずっと後悔しているんです。

早く戻ってきて下さいよ。

貴女とまだ、まだ一緒に生きていたかったんですよ。

貴女を救うことが出来なかったことが、どれだけ俺にとっての罪に、足枷になるか貴女は知らないでしょう？

自分で自分自身を罰することが出来ないのが、どれだけ悔しく苛立つことか。

お陰で天使だとか天界だとか、有り得ない妄言ばかり吐いてしまうんです。

あぁ。

俺はこんなにもちっぽけな存在だったのだろうか。
こんな弱かった覚えは無いんだけどな。

貴女が隣にいないときの俺を、もう思い出せない。

けど、これ以上に貴女は痛くて、苦しくて、辛くて。
周りの助けなんて意味も無ければ価値もない。

そう思って全てを投げ出してしまう程に、貴女はこの世に失望していたのだろう。

すみません、貴女に何も教えてあげれなくて。
すみません、貴女に何も聞けなくて。
ごめんなさい、貴女のことを救ってあげられなくて。
貴女のこと、心から笑わせてあげることが出来なくて。
何も与えられなくて

本当にごめんなさい

涙なんて出したくない。出せない。

こんなときぐらい、かっこよくしていたいんです。

傍にいて欲しいなんて言わないから。

だから。

本物の天使にでもなって、見守っていて下さい。

貴女が満足するような人生を送ってみせますから。