【HQ】 I'm dying to meet you. ｢川西太一｣ (ページ25)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:741 hit

もう一度。ページ25

川西side
あの後、Aが落ち着いてきて、やっと一息つけたと思ったら、言わずもがな牛島さんを除いたほとんどのレギュラーの人違に尋問されました。
お陰で余計に疲れた。
まぁ、のらりくらりと躱してたら直ぐに落ち着いたけど

因みに、天童さんは俺に彼女が居たの何となくだが察してたらしい。

え、絶対嘘でしょ。

部活も完全に終わり、早め早めに着替えて部活棟を後にすれば、校門前にはAが居て。嗚呼、なんか懐かしいな、なんて思いながら彼女の隣に駆け寄る。

同じ歩幅で、ぽつぽつと話しながらあの日(･･･)の答え合わせをした。

※

あの日は確か、Aが春から行く高校に合格した日で。
合格おめでとうって言う為だけにデートへ誘った。

それが間違いだった。

その日の帰り道は真冬というだけあって、マフラーやロングコートを着ていても全く寒さを凌げないような気温だった。

自分達の家の丁度真ん中らへんに位置する公園が見えてきた信号。そこで、それは起きた。

俺はAの『っ太一！！！！』という焦った声と共に誰かに突き飛ばされた感覚がした。脳の痛みを感知して、まだ意識があることに安心＿＿＿する余裕はなく、目を薄く開けて＿＿＿＿＿＿＿＿＿

絶句した。

目の前には、既に集まり始めた人だかりと目の前の半分近くを埋め尽くす程の赤黒い何かと、そのど真ん中で綺麗に横たわっているAだった。

意味がわからなかった。

いや、状況が分かってたとしても、それを頭で理解していなかった。

漸く全てを理解できたのは医師にある言葉を告げられたときだった。

『Aさんが何時目覚めるか分からない。そして、目覚めたとしても一部の記憶を失っている可能性があります。』

それ程までに命が助かったことでさえ奇跡に近い、と言った。本来打ってはいけない場所であったとも。

絶望しか無かった。嗚呼、思えば彼女は俺を庇ってこうなったんだ。なんで俺なんか庇ったのだろう。俺よりAが元気に生きていた方がいいじゃないか。

Aのあの赤を纏って固く目を瞑る姿が、ずっと目に焼き付いて離れなかった。あの時間帯もあってか、俺は今でも夕焼けは少しだけ怖い。

それでも、幾ら部活が遅くなっても彼女の病室に行かない日はなかった。

だって、やっぱり彼女の目覚めは彼氏である自分が最初に見てあげたいし1番に瞳に映して欲しかった。

まぁ、叶わなかったわけなんだけど。