53:枢 ページ3
優姫が隣にいても頭の中ではAの事を考えている。
今ここに、Aがいればいいのに。
遠い塀の向こうにいるだろう彼を待っていてもしょうがない。
そう思って優姫に吸血鬼の話をしていたのに。
彼女が姿を消してからしばらくして気づく。
なぜ、ここに。
その問いはすぐさま消えた。
香ったのは血の匂い。
騒めく貴族階級の吸血鬼たち。
また、か。
沸々と湧いてくる感情に、理性を保つので精一杯である。
錐生零。
彼がタブレットを受け付けないのなんて当然である。
Aの血を飲んだのだから。
他の味など受け付けない。
だからと言って、２度もAに牙を向けるなんて。
許される行為ではない。
突然聞こえた銃声に、悠長に歩いていた足はスピードを上げ、目的地を目指す。
そこにたどり着いたとき。
すでに目的の人物はいなかった。
今、錐生くんを目の前にすれば、間違いなく八つ裂きにする。
怒りを抑え踵を返した僕を誉めてほしい。
「枢……」
戻ってきた僕に向かって一直線で歩いてきた一条が小さな声でつぶやく。
「もう隠せないよ」
周りを一周見れば、どいつもこいつも僕の言葉を待っている。
これは良い機会なのかもしれない。
君を月の寮に受け入れる準備をしよう。
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クロ(プロフ) - 面白かったです！更新待ってます！ (2022年10月4日 15時) (
レス) id: 1724db8c95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - 続きがとてもみたいです！！更新待ってます^ ^ (2021年4月24日 22時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん - 更新ありがとうございます！これから、主人公がどうなっていくのか、楽しみにしてます！ (2019年3月8日 16時) (レス) id: eadf73325c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏生莉緒 | 作成日時：2019年3月4日 5時
