歪*110 ページ30
赤司さんと共にもう一度暮らし始めてから、3日が経った。
特段変わりもなく、穏やかで幸せな日々だ。
家族や友人とは、もう二度と会えないということに寂しさを感じないと言えば、
そんなのはまったくの嘘になるけれど、こちらの世界に来たことに後悔は微塵も感じていない。
「……えっ、今からですか?」
そんな日曜日。
マンションの部屋に、あたしの素っ頓狂な声が響く。
赤司さんは面倒そうに顔を歪めてから「うん」とだけ返事をした。
日曜の午前10時。
書斎にいた赤司さんが、掃除をしていたあたしの元へ来て告げたのは、
彼の実家に行く、というなんとも恐ろしいお誘いの言葉だった。
実家ってあれだよね、なんかすんごい豪華なお屋敷みたいな描写だったよね……。
それから、お父様がとっても厳しそうだった。怖い。
「……緊張してる?」
表情を強張らせているであろうあたしに気付き、赤司さんが眉を下げた。
素直に頷けば、彼はあたしの頭に手を乗せて「覚悟は必要かも」と困ったように笑った。
「……怖いですか?その、赤司さんのお父さん……」
失礼な質問だとはわかっているけれど、赤司さんの言った台詞に余計身体が強張る。
けれど赤司さんは驚いたように目を見開いて「……え、怖い?」と首を傾げた。
「描写が……厳格というか」
「ああ……。
厳しい面もあるけれど、正直今回は怖いよりもウザい、かも」
今度はあたしが、先程の彼以上に驚く番だったけれど、
赤司さんのその表情を見ると、その実情を極端な方向に思い浮かべることができた。
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小崎相良(プロフ) - こんばんは。とても楽しくて、一気に読んでしまいました。とても素敵な作品で、読み終えて少し寂しくなりました(´・ω・`)赤司君サイドのお話が面白くて、家族の前で吹き出しちゃいました(笑)素敵な作品をありがとうございます。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - あかりんさん» こんにちは、納得がいかずに書き直してしまいました…ですがそう言っていただけて安心です^^ これからもよろしくお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - AUSさん» こんにちは。そうって頂けてとても嬉しく思います!新作、と言うわけではないのですが、もう一作練り直しながら再更新よろしければお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん(プロフ) - こんばんは!前回の作品も密かに読ませてもらっていた者です♪お気に入りに登録していたので、更新通知がまた来た時はびっくりしました(笑)今回の作品もとっても良くて感動的でした(;_;)終わってしまったのが寂しい…!お疲れ様でした(^-^) (2017年12月14日 0時) (レス) id: 95ac557a92 (このIDを非表示/違反報告)
AUS(プロフ) - ああ終わったのがすごい寂しい(..)本当にこの作品大好きで読み返しも結構しました!!大好きです!!もし新作を作るのであればそちらも楽しみにしています!!!!お疲れ様でした!!...本当にこの作品大好きです!!!! (2017年12月12日 20時) (レス) id: a37795c062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛和 | 作成日時:2017年5月31日 23時