歪*106 ページ26
心地良い揺れで目が覚めると、頭上には流れる景色があった。
まだ覚醒しきっていない意識のまま身体を起こせば、前方からは「起きた?」の声。
その声で一気に現実へと引き戻されたあたしは、
今の自分の状況を見て慌てて彼に問いかけた。
「あああのっ!あたしもしかして寝ちゃって……!」
「ああ。とても気持ち良さそうに眠っていたよ」
クスクスと、赤司さんはミラー越しにあたしを見て笑う。
身体に掛けられていたのであろう彼のスーツのジャケットをきゅっと握り、
なんて失礼をしたんだろう、と小さく「すみません」と謝れば、
彼は意地悪な笑みを浮かべて「本当に」と返事をする。
「会議から戻ったらいないし、焦って探しに行こうとしたら
ソファの陰に隠れて無防備な表情晒して眠っているし……まったく」
彼の言葉に、うぅ……と肩を縮こませれば、
「黛に見せないようにするのが大変だった」と苦笑を浮かべる赤司さん。
その言葉にゆっくりと顔を上げれば、ミラーの中の、穏やかな笑みの赤司さんと目が合う。
「ま、俺も会議から戻るの遅くなっちゃったんだけど」
「……お疲れ様です」
「ふふ、ありがとう。
夕飯は外で食べていこうか、もう遅いから」
「今から作るの大変だろう?」と赤司さんが微笑み、
慌てて時間を確認すれば、もう19時を回っていた。
かなり長い時間眠っていたことが申し訳なくなり、再度謝罪をすれば、
明日の朝ご飯でチャラにしてくれると言ってくれた。
きっと、あたしがこれ以上気を遣わないための発言だろう。
そうして赤司さんは、ある一軒のカフェレストランに連れてきてくれた。
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小崎相良(プロフ) - こんばんは。とても楽しくて、一気に読んでしまいました。とても素敵な作品で、読み終えて少し寂しくなりました(´・ω・`)赤司君サイドのお話が面白くて、家族の前で吹き出しちゃいました(笑)素敵な作品をありがとうございます。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - あかりんさん» こんにちは、納得がいかずに書き直してしまいました…ですがそう言っていただけて安心です^^ これからもよろしくお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - AUSさん» こんにちは。そうって頂けてとても嬉しく思います!新作、と言うわけではないのですが、もう一作練り直しながら再更新よろしければお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん(プロフ) - こんばんは!前回の作品も密かに読ませてもらっていた者です♪お気に入りに登録していたので、更新通知がまた来た時はびっくりしました(笑)今回の作品もとっても良くて感動的でした(;_;)終わってしまったのが寂しい…!お疲れ様でした(^-^) (2017年12月14日 0時) (レス) id: 95ac557a92 (このIDを非表示/違反報告)
AUS(プロフ) - ああ終わったのがすごい寂しい(..)本当にこの作品大好きで読み返しも結構しました!!大好きです!!もし新作を作るのであればそちらも楽しみにしています!!!!お疲れ様でした!!...本当にこの作品大好きです!!!! (2017年12月12日 20時) (レス) id: a37795c062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛和 | 作成日時:2017年5月31日 23時