海と風みたいな君 (ページ28)

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YU side

自分が最低なのもわかってる。

なにもかも分かってる。

ただの邪魔者でしかないことも、裏切り者でしかないことも。全部わかってる。

ただ、もう戻っちゃうなら、

離れちゃうから、どうせ辛い思いする。

高校生だから、遠くなったら

壁ができる。

夕日が沈みかけて、今日のこの日を私は

忘れられないんだろう。

優｢A、あのね、私、奨と付き合ったの｣

優｢…合宿の日に。｣

｢…え？｣

もう暦は秋

なのにうちの担任は、風鈴を片付けない

いつも爽やかに聞こえる音色が

ただの、乾いた人工物の音にしか聞こえないのは

笑顔を絶やさない貴方が

そんなあなたの、

泣きそうな顔を始めてみるから…？

私ね、知ってるよ。

だから、呼び止めた。

優｢Aは、1番仲いい友達だから、1番早く言いたくて｣

私、知ってるよ、

お互い、好きで好きでたまらないの。

毎日毎日目で追っちゃって

お互いのこと頭でいっぱい考えるくらい

あんな内気な奨が、

私にも、やすぽんにも言わなかった秘密の場所を教えたことも。

Aとキスしたことも。

奨から手を繋いで、つなぎ止めたのも

お互いがあの空間を

あの幸せを噛み締めてることくらい。

私、知ってるよ。

私も、奨が、たまらなく好きだから。

優｢応援、してくれる？｣

｢…うん。もちろん。友達だもん。｣

｢私、ジュース買いに行ってくる。｣

誰かの芽を摘む。

そんなこと、高校生の私がすることじゃない

でも、したんだ。

Aの中で、新しい芽が芽生えたから

きっと、ダメでも、この子はだれも。

ただ自分だけを責めるのだろう。