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あの夏、
みんなで、近くにある境内に散歩に行ってた時。
奨「…ここ、裏側行くと、海が見えるんだ」
「えっほんまに?」
奨「…一緒に、行かない?」
「…」
砂利同士が擦る音が
心地よくて、切なくて、愛しくて、もどかしい
「きゃっ!?」ジャリッ
奨「大丈夫?ここ、足場悪いから。」スッ
「…あ、ありがとう」
差し伸べた手が握られて
力が入って、抜けるから、なんか、嫌で。
奨「…」グッ
「…奨く 奨「こうしてたい。」…」
奨「それが理由じゃ…、ダメかな。」
気づけば目の前に海が広がってて
「綺麗…」
奨「俺の穴場。みんな入れないと思ってる。」
奨「特別な、俺の場所。誰も知らない。俺の。」
「…そんな奨くんの大事なとこ、うちが知ってええの?」
奨「…うん。」
奨「…A、なんでそんなに、」
奨「なんで、」
「ん?」
奨「なんでそんなに…綺麗で、手も小さくて」
握られた手を見てたら、
「やめてよ…恥ずかしい」
そうやって離そうとするから
強く握って、じっと見つめて
「…」
恐る恐る、潤んだ目で、こっちを見るから
目が合ったら、もうダメだって
頭がおかしくなりそうなほど、のめり込みそうで
「…奨、くん?」
奨「そんな目で見られたら、どうかなりそう」
「えっ、んっっ」
チュッ
軽くだけじゃ足りなくて
手は汗ばんでて、余計緊張して、
奨「ねぇ、…キス、していい?」
「したやん」
奨「足りない。」
「…誰か見てるかも」
奨「見ててもいいよ」
2人目を閉じてキスをした。
満月が海に反射する夜の日
俺は好きな子と、
Aと、キスをした。
そうやって、笑い合えたら
優しく出来たら、良かったのに。
それだけが欲しかったのに。
なのに…なんで??
優「奨のバカ。」グイッ
奨「…っっ」
なんで、こうなってんだろ。
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作者名:かきのたね。 | 作成日時:2020年4月5日 1時