木槿のふたり (ページ30)

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一致団結ページ30

ちっこい日本人女の、大逆襲。

あまりの剣幕に、立ち上がっていた若手たちは席に座りはじめ、チーム全員が目の前で慌ただしく動くスタッフさんや、指示を飛ばす松本さんを見始めた。

「ジュンはあんなにも細部まで把握しているのか」
「彼は演者でもあるんだろ？」
「今の、確かに変えた後の方がいいな」

さっきまで立ち上がっていたグラフィック担当のサムも、今度は前のめりに現場を見ている。

「A、ありがとう…、確かにチームの士気が緩んでいたことは確かだ」
いつの間にか私の隣にいたチームリーダーに、僕の監督不行き届きだ、なんて謝られた。

彼は、私がTOXの新人時代、何も出来なかった頃から何度も怒られながら、一緒に仕事をしてきた人。

「私もよく怒られましたから」
「ハハ、誰のコトかなあ〜？」

「にしても、ジュンはなかなかのやり手だな」
松本さんが認められたことが嬉しくて、「そうなんです！！」なんてちょっと大きな声を出してしまった。

チームリーダーはそんな私を見て笑うと、「よし！プロとしての仕事をしよう！」と、チームメンバーに呼びかけた。

さあ。

"世界最高峰"の、コンサートが始まる。