木槿のふたり (ページ21)

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娘にデレデレな先輩ページ21

松本さんとうちで生姜焼きを食べてから3日。
結局あの後仕事のことで語り明かし、日付が変わったくらいに帰っていった。

そして今日は、打ち合わせのために会議室に来ている。
あれからマンションでも松本さんに会うことはなく、あれから初めて会う。ちょっと緊張。

「ねえ、聞いてるッ？！」
「え？」
「だから～、みてよ、さっちゃん！可愛すぎない？！」
先輩のカメラロールは愛娘・さっちゃん(さち、という名前になった。かわいい。)でいっぱい。

「手とかさ～、俺の10分の１くらいちっちゃいんだよ」
「先輩やっぱり予想通り溺愛ですね」
「うん、俺の目が黒いうちは嫁には行かせないね」

「うわ～そんなオヤジ、娘に嫌われるぞ」
おはよ、と会議室に入ってきた松本さんは、笑いながら先輩の携帯を覗きこんで、「でもまあ、仕方ないか」と笑った。

「潤、この間は助かった。ありがとう」
「母子ともに元気で良かったよ、頑張れよ！オヤジ！」
「オヤジ言うなっ！パパって呼ばせるんだから」
先輩と松本さんがヤイヤイ言いあって笑ってる。

なんだか高校生男子みたいなノリで楽しそうだな…なんて微笑ましくみていると、松本さんがパッとこちらをみた。

「あ、A、この間見た資料は持ってきてくれた？」
「はい、そのプロジェクターで見られるようになってます」
「了解、ありがとう」

「この間の資料？」
先輩がなにそれ、って横でコソッと聞いてくる。
「昨日のメールの件です、プロジェクションマッピングの海外チームの」
「あぁ、そのことか」

社会人たる者、ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)は大事！
ということで、娘溺愛デレデレ中の先輩には申し訳ないと思いつつ、昨日のうちにメールである程度の情報は共有済み。

なんとなく、松本さんとマンションが一緒で、生姜焼きを食べながら観たって話はしていない。

まぁ、仕事ではないし、良いよね…………？