木槿のふたり (ページ3)

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新・トーキョーページ3

「どうよ、5年ぶりの東京は」
先輩が運転しながらチラッとミラーを覗き込んで聞いてきた。

「なんか…色々変わってて不思議…」
あんな大きい建物あったっけ？とか、知らないモデルさんが大きい広告のなかでキラキラ笑ってたり。

なんだかまるで、初めての土地に来たみたい…と思いながら窓の外を眺めていると、携帯が鳴った。

＊
「Hello?」
「ヘイ、A～！ウィルだよ、もう到着した頃じゃないかと思ってさぁ」

ウィルは、アメリカでほんとにほんとにお世話になった同期。
面倒見が良くて、いつも相談を聞いてくれたりした、仕事のパートナー的存在。
彼がいなかったらやっていけなかったと思う…。

「ウィル！電話ありがとう、今ちょうど家向かってるところ！」
「そっか、ステキな家だからきっと君も気にいるよ」
「うん、ウィルの叔父さんにもありがとうって伝えておいて！」
「OK, 伝えておくよ！また電話する！」
＊

そう、実は今から私が住む家というのは、ウィルの叔父さんの持ち家なのだ。
元々貿易関係の仕事をしていた叔父さんは日本をとっても気に入り、東京に家を購入。
がしかし、「忙しすぎて全然行けない…家のケアをしてほしい！」と、今回私に格安で貸してくれることになった。

「ねえ、住所によるとここ…なんだけど。」
「え…？」
「嘘でしょ…」

今、私たちの目の前にあるのは、「超」がつく高級マンション。
首を直角に曲げて見上げるくらい高層の。

ウィルの叔父さんって…一体何者…！？