木槿のふたり (ページ40)

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吠える松本ページ40

「はぁッ！？どうなってんだよ！」

忙しなく準備が進む東京ドームのステージ上で、松本さんが吠える。

「どうすんの」
「いや、ちょっと考えます…」
「はあ、もういい。とりあえず責任者全員集合」

ピリリ、とした空気の中、集められたスタッフたち。

「で。ことの顛末をどうぞ」
松本さんに促されたスタッフが、話し出す。

「終盤のダンスパートで流してたバックスクリーンの映像なんですけど、機材トラブルで使えなくなってしまいました、申し訳ありません」
「替えの機材は？」
「替えも不調で、波があって…国内にこの2台しか無いんです…」

ああ…あそこは、嵐のダンスとセンサーが連動して、バックスクリーンが動くところだ。
それで映像が流れないなんて、演出の効果が半減どころかほぼ無くなってしまう……。

「分かった、仕方ない、じゃああそこのダンスパートはカットでいこう。その分イントロ長めにとって…いややっぱり…」

あ。
もしかして。

「あのっ！5分ほど時間頂いてもいいですかっ？！」
「A？どうした？」
「もしかしたら…もしかしたら、出来るかもしれません！」

私はダッシュで、機材の準備をしていた海外チームのリーダーの元へ向かった。

そう、彼らは、"プロジェクションマッピング"のエキスパートだ。

どうにかなるかも。
いや、絶対にどうにかしなきゃ。