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大人の優しさ ページ38
ポタッ
クリスマスケーキの広告の中で楽しげに笑っているサンタさんが、だんだん涙で滲んでいく。
「うぅ………」
胸がギューっと苦しくなって、しゃがみ込む。
圭太…
会いたいよ……
「ちょ、A！？大丈夫ッ！？」
頭の上から、懐かしい声がする。
圭太………？
「きゅ、救急車呼ぶ…？」
顔をあげると、松本さんがいた。
あは、そりゃそうだ。
これは、松本さんの声だった。
「あ、大丈夫です………あの、えっと、ほらココ、思いっきり頭打っちゃって」
エレベーターの手すりを指差しながら、えへへ、と笑う。
「……………」
さ、流石に無理があるか…。
「そっか、大丈夫？たんこぶにはなってないみたいだけど…」
ふわん、と頭を撫でられる。
あは、松本さんにたんこぶチェックされた。
「大丈夫です！いや〜あまりの痛さに、ちょっと涙が…へへ…」
「気をつけなね」
そう言って、45階のボタンを押してくれた。
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作者名：rio | 作成日時：2020年7月1日 3時
