魔法を使う場合は時と場所を考えよう ページ3
3年生も近い夏休みの終盤。
その日、宿題を終えたAは、柄にもなく悪いことを思いついてしまった。
「わたしが通ってるホグワーツと今わたしがいる場所は時代が違うんだから、魔法使ってもバレないのでは？」
＜は？＞
アルトの冷ややかな目も気にせず、好奇心に突き動かされた彼女は、すっくと立ちあがる。
「宿題やってるとき文献に出てきた、守護霊の魔法ってあったじゃん？やってみたい」
＜バカなのか＞
ワクワクした表情のAを、アルトは一言で罵倒した。
＜守護霊の呪文は高度な魔法だぞ？魔法使いになって3年目の新人魔女に使える訳が＞
「エクスペクト・パトローナム！」
＜聞けよ！！！＞
アルトの言う通り、守護霊の呪文は、理屈こそ分かりやすいものの使うのは難しい高度な魔法だ。しかし全く彼の話を聞いていないAは、意気揚々と呪文を唱える。もちろん、何も起こらない。
＜ホラ見ろ、お前には早いんだって＞
「ふむふむ、幸せな思い出を強く思い浮かべるのか」
＜オイコラ無視するな＞
めげないAは、文献を読み込む。哀れ、アルトはガン無視された。
彼女は、両親といる時間を思い浮かべる。1番幸せで、安心できる、素敵なとき。大好きな2人。今までも、この先も。
「エクスペクト・パトローナム！」
もう1度、呪文を唱えた。すると。
＜……………嘘だろ…＞
アルトが呆然と呟くのも、無理はない。彼らの目の前には、カラスの姿をした、1羽の守護霊がいたのだ。
「できた！わたしはやったぞ！」
ぴょんぴょんと無邪気に飛び跳ねて喜ぶA。彼女の感情に呼応するかの如く、バタバタと翼を動かす守護霊のカラス。
そして。
グラッ ガシャン！
「………えっ」
＜あっ＞
カラスの翼が巻き起こした風に煽られ、うっかり不安定な位置にあった目覚まし時計が落下。見事に壊れた。
しばらくの沈黙の後、Aは悟りを開いた顔で言った。
「…………………勉強に戻ります」
＜おう、そうしろそうしろ＞
明日、新しい目覚ましを買いに行こう。数学の参考書を開きながら、彼女は内心そう決意するのであった。
数日後、彼女はイギリスへ旅立った。3年目、スタート。
あ、目覚まし時計はちゃんと買いました。
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一般市民B(プロフ) - お待ちしてました！！イケメンのコミュ力パネェ…更新頑張ってくださいね！ (2022年2月8日 18時) (
レス) @page10 id: aa0bfcf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
CHIA(プロフ) - めっちゃ面白かったです！これからも頑張ってください(￣^￣)ゞ (2021年9月4日 15時) (レス) id: a32ddc8099 (このIDを非表示/違反報告)
由瑞 - 続編おめでとうございます！凄く面白かったです！更新頑張ってください!おめでとう (2020年11月8日 22時) (レス) id: 8d4739ba12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2019年8月4日 2時
