ハロウィーンは悪いことを連れて来る-3 ページ10
「ミス・カザマ」
Aの意識を現実に戻したのは、ダンブルドア先生の優しい呼びかけだった。彼は、彼女の小さな呟きを聞いていた残りの1人でもあるのだが、それをおくびにも出さず、二コリと笑いかける。
「君も一緒においで」
「わたしも、ですか？」
気付けば、ハリーたち3人は、事情聴取等のために呼ばれるのが決まっていた。しかし自分が呼ばれる理由がよく分からず、Aは怪訝そうに聞き返す。そのキョトンとした表情は、ホグワーツではほとんど見せたことのない年相応なもので、同時にこの恐ろしい現場には不釣合いなものでもあった。
ダンブルドア先生は、ただ優しく静かに、微笑みかける。
「あまり顔色がよろしくない。教員として、そんな顔をした生徒を、放置する訳にはいかんよ」
「(わたし、余程酷い顔色でもしてるのかな…？)」
腑に落ちないながらも、彼女は素直に頷いておいた。
実のところ、Aはどこをどう調べても問題無く健康だった。要するに、ダンブルドア先生は嘘を吐いたのだ。彼は、今のAを1人で寮に帰すのはよろしくないと判断し、嘘を吐いて同行させるようにしたのである。
ともあれ、そういう経緯を経て、Aを含めた数人の生徒たちは、最も近いロックハートの部屋へ移動した。
ロックハートの部屋で、ダンブルドア先生がミセス・ノリスの生死を確かめたり、フィルチがハリーを責めたりと忙しなく出来事が起きる中、Aは隅っこでボーッと座っていた。
「(2年連続でハロウィーンの日にピンポイントで何か起きるって酷くないか？来年は勘弁してくれよマジで)」
来年こそは丸1日楽しいだけのハロウィーンを過ごしたい、とAは願った。これは完全にフラグだと、もちろん現時点での彼女は知らない。
暢気な彼女の雰囲気は、いつの間にか普段通りに戻っていた。
まあまあ長い問答を終えて、ハリーたちは寮へ帰された。ハーマイオニーは、部屋を出る寸前まで、Aを心配そうに見ていた。
「待たせて悪かったのう」
「いえ、大丈夫です」
ハーマイオニーの視線と気持ちも露知らず、彼女はダンブルドア先生の声に応える。彼は、彼女の様子を速やかに確認すると、教員たちに一声二声かけて、Aを校長室へ誘った。出されたホットココアは、甘くておいしかった。
本人も無自覚な危うさを垣間見せて、ハロウィーンの夜は終わった。始まったばかりの一大事は、着実に進行していた。
秘密の部屋というもの-1→←ハロウィーンは悪いことを連れて来る-2
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☆りんりん♪(プロフ) - 鯉天さん» ありがとうございます！最近忙しさがヤバイですが、更新がんばります！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: bbc438c362 (このIDを非表示/違反報告)
鯉天(プロフ) - 前作も読みました！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ca258a6ba (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 賢者の石も読ませてもらいました。とても面白いです！続きがとても気になります。 (2016年9月7日 0時) (レス) id: f2e1a1e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2016年9月6日 22時
