おとなしい人間が怒ったら怒らせたほうが悪い-2 ページ7
「やあ、ドラコ。シーカーになったみたいだな、おめでとう。ところで随分楽しそうなことをしているね？わたしも混ぜてくれよ」
「や、やあ、トコハ…」
胡散臭い程に満面の笑みを浮かべ、矢継ぎ早に告げるA。ドラコは顔を引き攣らせ、反射的に一歩後ずさった。だって、彼女の目が、笑っていない。
「時にドラコ、お前がさっきハーマイオニーに何を言ったのか、多少距離があったせいで、わたしにはよく聞こえなかった。一体何と言ったのか、教えてくれるか？」
大嘘である。距離は確かにあったけれど、声は聞き取れた。しかしあえてAは嘘を言い、話しながらも一歩一歩、歩み寄る。ドラコは一歩一歩、後ずさる。
「どうした、わたしには言えない程の、酷いことを言ったのか？」
「………血」
「ん？何って？」
「け、穢れた血、と言ったんだ！」
追い詰められて、半ば叫ぶかの如く、ドラコは白状する。途端、空気がすぅっと冷えるような感覚に、皆が陥った。
「穢れた血、ねぇ……………マグル生まれを差別するその言葉、他ならぬわたしにも当て嵌まるってこと、まさか忘れてないよな？」
「え………ぁっ」
数秒考えてドラコは真っ青になった。どうやら本当に失念していた模様。
「ハーマイオニーに言うくらいだったら、わたしに言えよ。成績優秀な彼女に悪口を言っても、負け犬の遠吠えにしか聞こえないぞ？」
それともう1つ、とAは付け足し、ドラコの喉元に杖を突きつけた。
「ヒッ」
「わたしは人を差別する奴が嫌いだ。例えお前であっても、非常に許し難い。もし次、わたしのいる前で、今の言葉を口にしてみろ。こうして喉に杖を当てた状態で、発音が不完全な呪文を何か唱えてやる」
悲鳴を上げる彼は、優秀であるが故に、意味を理解してしまった。「うっかり呪文が暴発した場合、自分の頭と体は永遠におさらばするかもしれない」のだと、理解してしまったのだ。
「今月中はわたしに話しかけるな。顔も見たくない」
時間をかけて、頭を冷やしておけ。
杖を引くとAはそう言い残し、足早に立ち去った。
その後スリザリンチームも退散した訳だが、Aは1日中機嫌が悪かった。人を差別したり、根拠の無い悪口を言ったり。それらは彼女にとって、悪しき記憶をハッキリと蘇らせるものだったから。
「(ああ、思い出したくない、忘れろわたし、忘れろ！)」
ベッドで静かに頭を抱える彼女の姿を、ただハーマイオニーだけが、心配そうに見ているのであった。
ハロウィーンは悪いことを連れて来る-1→←おとなしい人間が怒ったら怒らせたほうが悪い-1
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☆りんりん♪(プロフ) - 鯉天さん» ありがとうございます！最近忙しさがヤバイですが、更新がんばります！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: bbc438c362 (このIDを非表示/違反報告)
鯉天(プロフ) - 前作も読みました！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ca258a6ba (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 賢者の石も読ませてもらいました。とても面白いです！続きがとても気になります。 (2016年9月7日 0時) (レス) id: f2e1a1e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2016年9月6日 22時
