闇の中へと誘うもの-1 ページ29
誰も知らない内緒の部屋で、ピアノの演奏をする日々が続く。もちろん、先生の引率など無い。バレたら怒られるのだろうか？そう考えないこともないけれど、今のAにとっては、自分の心の安寧を図るほうが大切だった。
危ない橋を渡り続けるのと引き換えに、彼女の精神はちょっとずつ安定し始めていた。
1週間後、試験が予定通りに行われるというマクゴナガル先生の言葉に、子供たちはざわついていた。
「こんなときでさえ学校を閉鎖しないのは、皆さんが教育を受けるためです。ですから、試験はいつものように行います」
教室が不満の声で埋め尽くされても、マクゴナガル先生は「ダンブルドア校長のお言いつけです」と言い放つ。
絶望したり文句を言ったりする多くの生徒とは裏腹に、これは良いことだ、とAは思った。
「(得体の知れないものへの恐怖は、他のことで払拭するのが1番良い)」
各自、すっかり抜け落ちた部分を脳に叩き込み直すのは大変かもしれないが、その間は秘密の部屋のことを忘れられるだろう。人間、怖がって気を張り続けていては、いずれメンタルがやられてしまう。そういう意味で言えばこの試験は、気分転換に最適なのである。(ただし、目覚めて直後に試験と知る羽目になるハーマイオニーには、同情を禁じえない次第だ)
早速Aは、試験勉強を開始。精神的に参っていても予習・復習は欠かさなかったおかげで、普通に勉強してさえいれば、試験は乗り切れそうな感じだった。
しかし、現実と向き合ってなお、彼女の心は闇に片足を突っ込んでいた。
何故だろう、気分が晴れない。ハーマイオニーのいないベッドが視界に入る度、胸の中がザワザワする。
そんな日々の最中に起きた出来事であった。
「やあ、こんにちは」
「……………誰？」
見知らぬ美少年に、話しかけられたのは。
誰も存在を知らないはずの部屋に、彼は何故か、普通に現れた。
「僕はリドル。君には、そうだね…喋る日記帳と言えば分かるかい？」
「要するに日記帳の化身？」
「簡単に言うとそうなるかな」
美少年は、リドルと名乗った。
「(日記帳の化身……………付喪神やゴーストみたいなものか？)」
リドルの例えを、Aはさらに独自の解釈で理解した。当然のように間違っていたのだが、口に出していないので、残念ながら訂正してくれる者もいなかった。
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☆りんりん♪(プロフ) - 鯉天さん» ありがとうございます！最近忙しさがヤバイですが、更新がんばります！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: bbc438c362 (このIDを非表示/違反報告)
鯉天(プロフ) - 前作も読みました！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ca258a6ba (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 賢者の石も読ませてもらいました。とても面白いです！続きがとても気になります。 (2016年9月7日 0時) (レス) id: f2e1a1e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2016年9月6日 22時
