異様と知らぬは本人ばかり-4 ページ18
Aにとっては、仮にジャスティンが蛇に攻撃されようと、一生のトラウマとして蛇の存在が刻まれようと、至極どうでも良い。
でも、罪無き生き物が怯える姿は、見ていてあまり気持ち良くなかった。
結果として彼女は、後先考えずに動いた。
ジャスティンの前に滑り込み、蛇と向き合う。真正面で蛇に威嚇されても、Aはただ、ニッコリと笑った。
「大丈夫、怖くないよ。わたしは君を傷付けない。君を森に返してあげよう。だから、こっちにおいで」
思いもよらぬ彼女の行動に、誰もが固唾を呑んで見守る。
「急に呼ばれて、びっくりしたよね。中途半端な呪文が当たって痛かったよね。本当にごめんなさい。代わりにわたしに、君を安全な場所に連れて行かせて欲しい。わたしの言葉、信じてくれないかな？」
説得を続けるAに、蛇は威嚇をやめた。
＜………分かった。あなたの目には嘘が無い。あなたを信じる＞
「うん、ありがとう。君は良い子だね」
そしてそう言うと蛇は、スルスルと彼女に這い寄り、腕に絡みつく。そんな姿を見て、Aは静かに微笑んだ。
「森に放して来ます」
「あ、ああ、気を付けて行きたまえ！」
呆然とするロックハートに声をかけ、多数の視線を浴びながら、彼女は部屋を立ち去った。
一応の配慮として人目を避け、城を出て禁じられた森へ。森に入ってちょっと進んだ辺りで、蛇を下ろした。
＜ありがとう、優しい人。お元気で＞
「どういたしまして。君も元気でね」
蛇は礼を述べ、森の奥へと消える。見送って満足すると、Aは戻った。ロックハートの顔をわざわざ見る趣味は無いので、大広間には寄らず、寮へ直行。習慣の予習・復習を終えると、ベッドにダイブした。お勉強中に戻って来たハーマイオニーは、何か言いたそうな顔で彼女を見つめるも、何も言わなかった。
故に、Aは知らなかった。
蛇語を話せないのに蛇と会話できることの、異常さを。
そもそも魔法使いであっても、呪文も無しに動物との意思疎通など、普通はできないことを。
当事者の彼女は、何も何も、知らなかった。
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☆りんりん♪(プロフ) - 鯉天さん» ありがとうございます！最近忙しさがヤバイですが、更新がんばります！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: bbc438c362 (このIDを非表示/違反報告)
鯉天(プロフ) - 前作も読みました！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ca258a6ba (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 賢者の石も読ませてもらいました。とても面白いです！続きがとても気になります。 (2016年9月7日 0時) (レス) id: f2e1a1e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2016年9月6日 22時
