異様と知らぬは本人ばかり-2 ページ16
何の役にも立たない素敵なお話を終えると、ロックハートはスネイプ先生を示す。
「では、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう」
ここからが酷かった。
「スネイプ先生が仰るには、決闘についてごく僅かにご存知らしい。訓練を始めるにあたり、短い模範演技をするのに、勇敢にも、手伝ってくださるというご了承をいただきました。さてさて、お若い皆さんにご心配をおかけしたくはありません。私が彼と手合わせしたあとでも、皆さんの魔法薬の先生は、ちゃんと存在します。ご心配めさるな！」
うっかり呼吸が止まりかけた。
引き攣った顔面を取り繕う余裕も失ったまま、Aはスネイプ先生を盗み見る。
「(あっやっぱり怒るよね、そうだよね)」
スネイプ先生の唇は歪み、左の口角が分かりやすく痙攣していた。明らかに怒っている。激怒している。
対照的な2人は向き合って一礼し、杖を構えた。
「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています。3つ数えて、最初の術をかけます。もちろん、どちらも相手を殺すつもりはありませんよ」
「(いやいや、相手は全力で殺意を滾らせてるぞ？大丈夫か？)」
Aは、ロックハートの危機感の無さに、そっと合掌した。
「1――2――3――」
2人が杖を、高く振り上げる。
「エクスペリアームス！」
ロックハートが唱えるより圧倒的に早く、スネイプ先生の呪文が炸裂。真っ直ぐ後ろに吹き飛んで壁に激突して落ちたロックハートは、フラフラと立ち上がった。髪が逆立ち、全身あちこちが黒い。
「さあ、みんな分かったでしょうね！」
だがしかし、笑顔で詳細な解説を行う彼に、Aは感情を失った。
ひたすらに理解できない。ギルデロイ・ロックハートは、彼女の理解能力の限度を、広く大きく超えていた。
「これから2人ずつ組にします。スネイプ先生、お手伝い願えますか…？」
説明が終わると、Aはスッと部屋の端っこの壁際へ逃げ、当初の予定通りに見学の意思を示した。せめて残りの時間を、心穏やかに過ごしたかった。
組が決まると、ロックハートが高らかに言った。
「相手と向き合って！そして礼！」
各々が相手を見据え、時に睨みつける。
「杖を構えて！私が3つ数えたら、相手の武器を取り上げる術をかけなさい。武器を取り上げるだけですよ。1――2――3――」
ロックハートが合図もせぬ内に、幾つかの呪文は放たれた。閃光と煙、人が倒れる音に物が壊れる音。武器を取り上げるだけ、で済んでいないのは、明白。
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☆りんりん♪(プロフ) - 鯉天さん» ありがとうございます！最近忙しさがヤバイですが、更新がんばります！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: bbc438c362 (このIDを非表示/違反報告)
鯉天(プロフ) - 前作も読みました！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ca258a6ba (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 賢者の石も読ませてもらいました。とても面白いです！続きがとても気になります。 (2016年9月7日 0時) (レス) id: f2e1a1e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2016年9月6日 22時
