授業じゃ授業じゃ-4（魔法薬学） ページ8
翌日、魔法薬学の授業。
黒いマントを靡かせ颯爽とした足取りで教室に入って来るスネイプ先生は、出席を取ると、まずはハリーに目を向ける。
「ああ、左様」
どう聞いても猫撫で声だ。
「ハリー・ポッター。我らが新しい―――スターだね」
元イジメられっ子で他人の悪意に敏感なAは、即座に理解した。
ああ、この人はどうやらハリーが嫌いなんだな、と。
続けてスネイプ先生は、打って変わって威厳を漂わせ口を開いた。
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
決して大きくはないのによく通る声。誰も彼の言葉を聞き逃さない。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である―――ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
顔も名前も知らない数々の先輩方は、彼曰くウスノロらしい。合掌。
心の中で手を合わせながら、ノートに大演説を書き写す彼女だった。だって暇だもん。
「ポッター！」
突然スネイプ先生が叫び、一斉に視線がハリーへ向けられる。A以外の視線が。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか？」
「…分かりません」
「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいと言われたら、どこを探すかね？」
あからさまなハリーへのイジメ。正確には、挙手するハーマイオニーを無視している時点で、グリフィンドールへのイジメだった。
「分かりません」
「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかった訳だな、ポッター」
「(うわぁえげつない)」
先生の言葉に、演説を書き写し終え再び暇になったAは、顔を歪めつつ教科書を読んでいた。だって暇だもん(2回目)
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2015年10月30日 1時
