クリスマス休暇-1 ページ19
ハリー・ロン・ハーマイオニーの3人が何かを調べているのに対して、一切の興味を抱かず首も突っ込まず、そうして過ごしている内に季節はもうすぐクリスマス。我が家に帰って久しぶりに両親と対面する、楽しみなクリスマス休暇が近付いていた。
「トコハは帰省するの？」
「うん、長期休暇には家に帰る約束してるし。ハーマイオニーは？」
「わたしも帰るわ」
同室の友人も帰省するらしい。
「ところで、トコハはクリスマスプレゼントに何が欲しい？」
「えっ」
前触れ無く、思いもよらぬ唐突な問いに、キョトンと目を瞬かせるA。彼女に構わず、ハーマイオニーは続けた。
「あなたはわたしの友達だもの、絶対に何か用意して、新学期に渡すわ」
「でも、わたしはそんなに、良いプレゼント用意できないのに」
気持ちを有難く感じつつも、対等のお返しができる自信が無くて、Aは俯く。日本人的なお互い様思考と、彼女の真面目さが生み出す、真剣で切実な悩みだった。
しかしそれを、ハーマイオニーは軽く笑い飛ばした。
「何言ってるの、わざわざお返しを用意してくれる気でいるなんて、あなたのそんな優しさだけでわたしはすごくハッピーだわ。くれるのが例え川原で拾った小石1つであっても、とてもうれしいわよ！」
その目に嘘は無く、Aはホッと力を抜く。
「ありがと、ハーマイオニー。………わたしは本が欲しいな、できれば、エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』が良い」
「分かったわ、買って持って来るわね」
知識欲に溢れる彼女のリクエストを受けて、ハーマイオニーはにこりと笑う。Aもまた、温かい笑顔に釣られて、ふわりと微笑み返した。
「で、君は、クリスマスプレゼントに何が欲しい？」
「ブルータスお前もか」
翌日、図書館にて。恒例のお勉強会をしている最中にドラコにそう聞かれて、Aはテーブルに額を打ち付けた。
「ハーマイオニーにも言ったんだけどさ、わたしは大したプレゼントが容易できない」
ゆっくりと顔を上げ、被害を受けた額を擦りながら述べる。するとドラコは、ふん、と鼻で笑って言った。
「僕が渡したいから聞いているんだ、君のお返しは関係無い。そもそも君如きのお返しに、大した期待もしていないしな」
酷い言い草である。が、非常にドラコらしい。
Aは苦笑してお礼を言い、お菓子のプレゼントを頼んだ。
「さて、わたしは何を贈ろうか」
そして早速、自分が贈るプレゼントに関して、悩み始めていた。
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作者名：☆りんりん♪ | 作成日時：2015年10月30日 1時
