夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ13)

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寮の違いは些細な違いページ13

ホグワーツという学校においては素晴らしく異質な決意を固めたAは、飛行訓練の翌日夜、早速ドラコを探した。
すぐには見当たらず、仕方なく勉強をしようと入った図書館に、彼はいた。課題をやっている。

「マルフォイ君」
「……………何の用だいミス・カザマ、見ての通り僕は課題中だ」
「ちゃんと名前覚えてくれて尚且つ返事もしてくれる辺り、何気に律儀でとてもうれしいよ」

グリフィンドール勢に話しかけられて非常に嫌そうな顔をしつつも、きちんとAの名前を記憶していたドラコは、しかもちゃんと返事をしてくれた。

「マルフォイ君、優秀でしょ？才能と、こうして努力してるし」
「当たり前だろう？」
「じゃあ、その優秀な君にお願いがある。わたしに、わたしの苦手な科目を教えて欲しい」
「………聞き間違いかな？」
「何なら一字一句変えずに繰り返そうか？」

優秀、の評価に心なしか誇らしげな彼の表情は、次の瞬間怪訝な様子に変化し、最後には唖然とした顔になった。
言った当人はしれっとしている。

「正気とは思えないね。自分で言うのも何だけど、僕に頼み事をするグリフィンドール勢なんて、頭がおかしいとしか考えられないよ」
「わたしは寮の違いとかどうでも良いもん。ただ優秀な人間に教えてもらいたいだけ」

呆れたドラコはついに真正面から彼女に向き合う。だが彼女はやはり至って真剣で、むしろ「ダメか？」と首を傾げている始末。

「…まずは明日、同じ時間に、ここに来い。必要な道具を持って」
「うんっありがとうマルフォイ君！」

困り果てた彼は妥協に妥協を重ね、葛藤の末折れるのだった。
満面の笑みを浮かべて、手まで振って去って行くAは、360度どの角度から見ても、異質の塊である。
ドラコ・マルフォイは思った。今後はしばらく疲れそう、と。

彼とは正反対に、目標達成したAの機嫌が頗る良かったのは、ドラコの心中を慮って内緒の話としたいところ。