夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ11)

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授業じゃ授業じゃ-6（飛行訓練）ページ11

『飛行訓練は木曜日に始まります。グリフィンドールとスリザリンの合同授業です。』

掲示板に書かれたその文で、グリフィンドール勢もスリザリン勢も、それぞれの1年生たちは大変機嫌がよろしくなかった。

「むむ、箒は掃除する道具だと思っていたから、これはわたしの中で大変革だぞ」

そして寮の関係なんて欠片も気にしていないAは、今日もやっぱりズレていた。

飛行訓練の時間。
芝生には沢山の箒が転がっている。彼女は思い思いに話す皆を尻目に、テキトーに1本の箒に小さく挨拶した。よろしくね、と。
特に意味は無い。物を大切にする昔ながらの日本人的性質が、彼女にもあるだけ。

「何をボヤボヤしているんですか」

するとキリッとした声が響く。短い白髪と鷹のような黄色の目を持つ先生、マダム・フーチだ。

「(おお、イケメンな女性)」

A基準では美人、と評されるマクゴナガル先生とはまた違ったタイプである。

「みんな箒の側に立って。さぁ、早く」

先生の言葉に、全員が箒の横へ。

「右手を箒の上に突き出して、そして上がれ！と言う」

指示に従い、全員が「上がれ！」と一斉に叫んだ。
しかし全員が一発で成功などしない。グリフィンドール勢は特に、あのハーマイオニーさえ苦戦している。ハリーはどうやら一発成功者らしい。

「箒さん、上がってくれないかな…？」

ちなみに数回試して失敗したAは仕方なく優しげに呼びかけてみたのだけど、不思議と途端に箒は言うことを聞いてくれた。

「………まあ良いか」

一先ず成功したのなら良し、で片付け深くは考察しないと心に決める彼女だった。