幻想的に淡く。2

59 ページ10

藤ヶ谷SIDE









確かそんなこと、
酔いながら琴瀬は語ってたっけ。









"先輩は大切なものってあります？"






だから、余計に
琴瀬が話してた玉森の話も、
この前言ってたあの言葉も、
リンクしてるから余計に気になるっていうか。。。









黙らせたかったから？





絶対そんなの理由じゃねぇだろ。









分かってるんだよ。

大学の時の玉森も知ってるから
今まで見てきたから、



何が嘘か本当か。









そんな下らねぇ理由で
キスするような奴じゃねぇだろ。






俺がそう思ってても

下手に琴瀬には言えないし。
玉森本人にも言えない。









すやすや疲れ切ったように眠る琴瀬を見ると
静かに涙が頬を伝った。







玉森が正直になるまで
待たなきゃいけない、ってそう思う。



もしかしたら
あいつと琴瀬にしか分からないことがあったかもしれないし
お互い、大事なものを見ようとしていないのかもしれない。





俺にはわからないけど、
琴瀬の相談に乗っている以上
見捨てるわけにはいかない。









・

60→←58

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す