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『だからね、私は他の人よりも鬼を引き寄せやすいみたいで…今日みたいな月夜、突然村が鬼に襲われた。
ーーー目的は私と母だった。
母も私と同じく稀血だったから、鬼に集中的に狙われた。母は身をていして私を助けてくれたけど、目の前で喰い裂かれて殺された…』

千代の目から大粒の涙が溢れた。
自分のせいで母を失い、
村の人たちまで犠牲にしてしまったのだと…
強い後悔の匂いを漂わせて…

「千代。」

気付いたら千代を抱きしめていた。
華奢で小さな体は小さく震えていて、
今にも消えてしまいそうで腕の力を強めた。

「辛かったな…」

千代も、鬼に幸せを壊されていた。

『…っ、うわぁぁー!!』

その時、千代は俺の前で初めて声を出して泣いた。
ずっと我慢していたんだろう。
それを思うと、俺も思わず涙が溢れだした。

涙を流しながら、ぽつりぽつりと
千代は続きの言葉を紡いだ。

俺に鱗滝さんを紹介した冨岡義勇さんは
千代の命の恩人らしい。
母親を奪った鬼を倒してくれたのが冨岡さんで、
身寄りがなくなった千代を鱗滝さんのところに連れてきてくれたのだそうだ。

もう、これ以上悲しむ人を見たくない。
人を守れるようになりたい。
その想いが千代をここまで強くした。

「辛いこと思い出させてごめん。話してくれてありがとうな」

『うん…うんっ』

頭を出来るだけ優しく撫でると
少しずつ落ち着いた千代が俺の顔をじっと見つめた。

『ねぇ、炭治郎。炭治郎も辛かったよね…。
無理しないで…!
分かるよ、炭治郎はずっと我慢してるもの。
私の前では長男の炭治郎じゃなくていいの。
泣きたい時は泣けばいいんだよ?』

涙を流しながら差し出された手。
千代のひんやりした手が俺の頬に触れた。
それが妙に安心できて
涙が溢れて、止まらなかった。
ずっと我慢していたのに…

「千代、俺っ…、俺、辛かった、ずっとずっと…!!辛かった…ッ!!」

もうこれ以上失いたくない…!!

「『うわぁぁぁーー!!』」

俺たちは
今まで辛かった想いをぶちまけるように
抱き合ったまま、声を上げながらしばらく泣いた。

それから改めて
亡くなった家族の分も生きなければと
互いに誓い合った。



【コソコソ噂話】
とても寒い冬の吹雪く日のことーー
炭治郎は防寒着も身に付けずに山に行く千代さんを何度も心配し、自分の防寒着を貸していました。
しかし翌日、逆に自分が風邪をひいてしまい、寝込んでいましたが、千代さんに看病してもらって幸せだったらしいですよ?

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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時

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