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鼓の鬼 ページ40

『お兄ちゃんと離れ離れにしてごめんね?必ず守るから安心して?』

頭を撫でて涙を拭いてやると、少し落ち着いてきたみたいだ。

「千代の言う通りだ。お兄ちゃんのことも善逸が守るよ、大丈夫。名前は?」

「てる子……」

「そうか、いい名前をつけてもらっ…」

この匂い…!!

千代も気配に気づいたのか、俺と同じ方向を見つめている。

『来る…』

千代が呟くと身体中に鼓を付けた鬼がゆっくりと歩いてきた。

!!いくつかの匂いの中でもこの屋敷に染みついたきつい匂いだ。
かなり人を喰ってる!!こいつが屋敷の…主!!

『てる子ちゃん、叫ぶのは我慢して。部屋は動くから廊下に出ちゃ駄目。退がって棚の後ろに隠れて』

千代がてる子を避難させ、二人で刀を構える。

鬼は何やらブツブツ呟いている。

「あいつらめ…あいつらめ」

「俺は鬼殺隊、階級・癸!!竈門炭治郎だ
今からお前を斬る」

(……あの、炭治郎さん?不意打ちって知ってる?)

鬼に斬りかかるが鼓を打たれた。

『炭治郎!』

「おわっ」

「きゃっ」

ドサッ

「『!?』」

畳が側面にある…部屋が回転したんだ。
これがこの鬼の血鬼術…

部屋が回転ことで体勢が崩れたが受け身は取った……ん?

ふわりといつも香る千代の匂いがいつもより濃く感じた。

気づくとそこには、
俺の下で壁を背に困惑の表情で見つめている千代がいた。

こ、これじゃ俺が千代を押し倒したみたいじゃないか!?

「ごごごめん!!」

『い、いや、私こそごめん///』

慌てて立ち退き、俯く千代の手を引いて起こした。

「あの…千代、てる子と一緒にいてやってくれないか?」

『わ、わかった』

なんだか気まずい空気が流れているが、
千代からは怒った匂いはしない。

何より今は目の前に鬼がいるのだ。
気を引き締めろ!!

ーーー

『てる子ちゃん、大丈夫?』

「お姉ちゃん…!」

っ、しまった!
ここは部屋の仕切り!

ポン、ポン

『!』

また部屋が変わった!
炭治郎とはぐれちゃった…

でもどういうこと?
さっき私たちが部屋の仕切りを踏んだ後、あの鬼は鼓を打っていなかった。
この屋敷は複数の鬼の気配がする。
別の鬼も鼓を持っている…とか?

「お姉ちゃん…」

てる子ちゃんが不安そうに私を見つめる。

この子を守るんだ。
私がしっかりしなきゃ!

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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時

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