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移動する部屋 ページ39

「ヒャーーーッ!何だよォーーー!!
なんでそんな般若みたいな顔すんだよォーーッ」

般若みたいな顔?

善逸にだけだ。
もちろん千代に見せるわけないだろ。

「無理強いするつもりはない」

「行くよォーーッ」

引っ付く善逸を剥がし、兄妹のそばに禰豆子が入った箱を置く。

その合間に千代が善逸を誘導してくれていた。

『ほら善逸、行くよ?』

「千代ちゃぁん!」

『今戦えるのは私たちしかいないんだよ?
私たちが頑張らないといけないの!』

「そ、それは……」

『私だって、怖い。鬼と戦うのが。…でも、負けるわけにはいかないでしょ?』

「千代ちゃん…。うん、わかった。行くよ、行くよ俺…」

「…終わったか?」

何さりげなく千代の手を握ってるんだ。

「ヒィ!た、炭治郎…なぁ炭治郎。千代ちゃぁん!守ってくれるよな?俺を守ってくれるよな?」

屋敷の中を進みながら、プルプル震えてついてくる善逸を振り返る。

「………善逸、ちょっと申し訳ないが、前の戦いで俺と千代は肋と脚が折れてる。まだ完治してない。だから」

「えええーーーーーッ
何折ってんだよ骨、折るんじゃないよ骨!
折れてる炭治郎じゃ俺を守りきれないぜ!
ししし死んでしまうぞ!
千代ちゃんだけは命に変えても守りたいけど、
ヒャッ、どうすんだどうすんだ死ぬよこれ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬヒィーーーッ
骨折してるなんて酷い。あんまりだぞ!
死んだよ俺!!九分九厘死んだ」

「善逸、静かにするんだ。お前は大丈夫だ」

「気休めはよせよォーーッ」

騒ぎ暴れまくる善逸を鎮めようにもうまくいかない。

千代は、よくそんなに一気に叫べるなと感心したような顔をしているし…

ふと、あの兄妹の匂いがこちらに向かってきた。

「駄目だ!!」

「ギャーーーッ」

「入ってきたら駄目だ!!」

二人が屋敷に入って来てしまった。

「お、お兄ちゃん、あの箱カリカリ音がして…」

「だっ…!!だからって置いてこられたら切ないぞ。あれは俺の命より大切なものなのに…」

『一人で大丈夫かなぁ…早く戻らなきゃね』

「そうだな」

千代も取り残されてしまった禰豆子の安否を心配してくれた。

突然、屋敷の中がミシミシ音を立て始めた。

「キャアアア」

また騒ぎ出した善逸に押され、俺と千代と女の子は違う部屋に飛ばされてしまった。
部屋が変わる瞬間、鼓の音がした。

「部屋が、移動した…」

「ううう……」

「!!」

女の子が兄ちゃんと離れてしまった恐怖心からか泣き出してしまう。

鼓の鬼→←鼓の音



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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時

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