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黄色い君 ページ35

「南南東、南南東、南南東!!
次ノオ場所ハァ、南南東!!」

炭治郎の鎹鴉が道中けたたましく騒ぐ。
浅草を出て、南南東を目指していた。

『わかったわかったよ』

「わかったからもう少し黙ってくれ。頼むよ」

「頼むよ!!」

ビクッ

な、なに!?

急に大きな声が聞こえてそちらを見ると女の子に一人の男の子がすがりついていた。

「頼む頼む頼む!!結婚してくれ。いつ死ぬかわからないんだ俺は!!だから結婚してほしいというわけで!!頼むよォーーッ」

あれ?あの子…あの金髪の子って…

「何だ?」

「チュン、チュン」

『おっと!雀さんどうしたの?』

一羽の雀が焦ったように飛んできて、私の掌に止まった。

「チュン、チュンチュン!、チュン!」

『うん、うん』

「そうか、わかった。何とかするから!千代は危ないかもしれないから隠れていてくれ」

……え、危ないの?
こんな道の真ん中でどこに隠れればいいのよ。

炭治郎はそのまま、未だに女の子にすがる黄色い髪の男の子を引き剥がした。

「何してるんだ道の真ん中で!その子は嫌がっているだろう!!そして雀を困らせるな!!」

「あっ、隊服。お前は最終選別の時の…」

「お前みたいな奴は知人に存在しない。
知らん!!」

…炭治郎。いたよこの子。
選別で見たことあるもん。

「えーーーーっ!!会っただろうが会っただろうが!お前の問題だよ、記憶力のさ」



『そっかぁ、君はあの子の鎹…雀なんだね?』

「チュン♡」

懐いてくれた雀と遊びながら状況を伺っていると黄色い子が、嫌だ、助けて、と散々騒ぎまくり、ようやく落ち着いたらしい。

うるさいのは得意じゃないが流石に心配になり、思い切って声をかけてみた。

『ど、どうしたの?大丈夫?』

「わぁぁ…君!最終選別にいた子だよね?
鬼と戦ってるところちょうど見ててさぁ♡
もう君に助けられたから、俺はまだ生きていられるって感じ!!あの時は本当にありがとう!!」

んん?全く覚えがない…
さっきまでの取り乱し用はなんだったんだ?
今もまあ…ちょっとおかしいけど。

「それにしても綺麗な髪だねぇ!
名前は?なんで狐の面してるの?」

『あ、ええっと…』

なんでこんなにいっぱい喋るのこの人!
目が回りそう…
何から話せば良いの〜!?

「おい!千代を困らせるな!」

『た、炭治郎ぉ〜』

炭治郎が彼に注意してくれたけど、まるで聞いてない…

「千代ちゃんていうのかぁ!可愛い名前だね!!俺は我妻善逸だよぉ!」

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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時

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