もう二度と ページ34
建物の地下に行き、千代を背中から下ろすと
禰豆子が俺と千代に抱きついてきた。
それから珠世さんに抱きつき、愈史郎さんの頭を撫でたりしている。
「禰豆子…」
「先程から禰豆子さんがこのような状態なのですが…、大丈夫でしょうか」
「大丈夫です。多分二人のことを家族の誰かだと思っているんです」
「？しかし、禰豆子さんのかかっている暗示は、人間が家族に見えるものでは？私たちは鬼ですが…」
「でも禰豆子は人間だと判断してます。だから守ろうとした。俺… 禰豆子に暗示かかってるの嫌だったけど、本人の意思がちゃんとあるみたいで良かっ…」
ほろ…と珠世さんが急に涙を流した。
「すみません！！禰豆子、禰豆子はなっ、離れるんだ失礼だから！！」
慌てて止めようとしたが、珠世さんが強く禰豆子を抱きしめた。
「ありがとう禰豆子さん、ありがとう…」
それから珠世さんはこの土地を去ると言った。
鬼舞辻に近づきすぎて、早く身を隠さなければ危険な状況だと。
「炭治郎さん、千代さん。禰豆子さんは、私たちがお預かりしましょうか」
「『え』」
「絶対に安全とは言いきれませんが、戦いの場に連れて行くよりは危険が少ないかと」
「『………』」
そうかもしれない…確かに。
預けた方が禰豆子のためにも…
「！！」
ぎゅっと隣にいた禰豆子が俺の手を握った。
千代の手も握ったまま、禰豆子は俺を見つめている。
そうか…そうだよな。
その手を握り返し、珠世さんに伝える。
「…ありがとうございます。でも、俺たちは一緒に行きます。離れ離れにはなりません。もう二度と。
もちろん、千代とも」
『炭治郎…』
「………わかりました。炭治郎さんは本当に千代さんが好きなんですね」
「すっ…！？た、た、た、珠世さん！？いや、えっとえっと…！！」
『〜〜！？///』
「ふふ、少しからかっただけですよ」
珠世さんは可笑しそうにクスリと笑った。
「では、武運長久を祈ります」
「じゃあな。俺たちは痕跡を消してから行く。お前らももう行け」
「『あっ、はい』」
「炭治郎、千代」
後ろを向きながら愈史郎さんが言った。
「お前の妹と千代は美人だよ」
『…///』
【コソコソ噂話】
炭治郎は千代さんの前だと心の声でキャラ崩壊を起こすことがあり、真面目でしっかり者の長男でいられなくなるほど、心を許しています。
なので、彼はたまに弱みを見せたりできる唯一の存在として、いつも感謝しているらしいですよ？
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作者名：りんらん | 作成日時：2020年9月28日 16時
