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助かった ページ33

あれから、何回技を出しただろうか。

もう周りの音があまり聞こえない。
引っ張られる感覚が消えた。

解放された…
炭治郎が、矢印鬼の首を斬ったのだ。

それからの記憶がない。

激痛と私を呼ぶ声に目を開けると、
泣きそうな顔でこちらを見つめる炭治郎の姿があった。

「千代!!千代…っ!!」

『…炭、治郎…っう』

「だ、大丈夫か!?無理するな…」

起き上がろうとしたが、痛みで起き上がれなかった。

肋と足が折れたかもしれない…
力が入らないのは、疲労のせいだろうか。

炭治郎も見たところ重症だ。
私の手を握る手にもあまり力が入っていない。
これじゃ、二人ともまとも刀を握れない…。

もう朝日が登り始め、鬼の気配はなかった。
私が気を失っている間に毬鬼の方も決着がついたのだろう。

「良かった…千代。すぐに助けられなくてごめん」

力が入らない体で私を抱きしめる炭治郎の背中に腕を回した。

『ううん、倒してくれてありがとう。助かった』

それから何があったのか、炭治郎はゆっくり話してくれた。

毬鬼は珠世さんの術で、自ら鬼舞辻の呪いを発動させ殺されてしまったと。
鬼舞辻の呪いの話を聞いた時は、ゾッとした。
そして、彼らは十二鬼月ではなかったらしい。
あんなに強かったのに…

「そうだ。これ」

『あ…ありがとう』

炭治郎が私の面を渡してくれた。
拾って来てくれたんだろうか。
良かった…壊れてない。

「珠世さんたちのところに行こうか」

安心して面を抱きしめていると、
炭治郎が笑って、強制的に背負われてしまった。

『た、炭治郎いいって!怪我してるんでしょ!?私は一人で歩けるよ』

「ダメだ。見ていられない!怪我が悪化したらどうするんだ!?」

心配してくれるのは嬉しい。
炭治郎は優しいからいつも甘えてしまう。
自分だって怪我をしていて骨折ってるのに…
痛いの我慢してるくせに…
その気遣いも強さも全部、カッコいいんだよなぁ…

『ありがとう』

ぎゅっと炭治郎にしがみ付くと、固まってしまった。
どうしたんだろ??

(炭治郎心の声)
ぬぉぉおぉおおお!!
千代が…ッ、千代が可愛すぎる!!
なんだよ、今の!!
俺は長男だ。我慢しろ!
心臓が…心拍数が速いッ
落ち着けぇ!千代にバレてしまう。
自分から背負っておいて…
やばいなこれは…
千代だって怪我してるんだ!…無理はさせられない。
だけど、…あーもう、首をかしげるな!
可愛い!!
早く…、早く… 、禰豆子ォ!!
兄ちゃんを助けてくれぇ!!←

もう二度と→←毬鬼と矢印鬼4



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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時

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