髪 ページ11
『炭治郎、髪…伸びたね』
「あぁ、そうなんだよ。切らなきゃな」
『やってあげるよ』
「ありがとう、千代。頼むよ」
ハサミを取り、炭治郎の髪を切り揃えていく。
『禰豆子ちゃんを置いていくのはやっぱり不安?』
眠り続ける禰豆子ちゃんは連れて行けないので、鱗滝さんに預かってもらうことになったのだ。
炭治郎たちがここに来てから禰豆子ちゃんは一度も目を覚ますことはなかった。
ずっと炭治郎からは、不安そうな心配そうな気が溢れていた。
「ああ、怖いんだ。朝起きたらコトンと死んでしまっているんじゃないかと考えない日はないよ」
『だ、大丈夫だよ!お医者さんもどこも悪いところはないって言ってたし!確かにずっと眠り続けてるのは私も心配だけど…炭治郎が禰豆子ちゃんを信じてあげなきゃ!』
「千代…」
『絶対にまた二人で戻ってこよう!』
「そうだな!ありがとう、千代。俺が弱気になったらダメだよな!不甲斐なし!」
『ふふ、はいできた』
「ありがとう!千代は、髪いいのか?」
『うん、せっかく伸びたし、結んでおけば邪魔にならないから』
「そうか。確かに伸びたなぁ」
炭治郎は私の髪を感触を楽しむように触るのが最近ハマっているらしい。
なんでもすごく癒されるんだとか…
たまに「癒しをくれ」と言われ、腰あたりまでに伸びた髪をとかしてもらっている。
その優しい感触が嫌いではないから断りはしないが、なんだかくすぐったい。
「あ〜、やっぱりふわふわで少しひんやりしてて、
触り心地最高だなぁ」
『よく飽きないよね』
そんなにいいのか自分ではよく分からないのだが、
「これが飽きるなんて、人としてどうかしてると思う」と真顔で返され、
『……そ、そうなんだ?』
微妙な返事しか出来なかった。
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月28日 16時