13話 ページ14
太宰治は少しづつ変化してきている。其れは私が望んだ方へ。この数カ月という期間のおかげで暗闇しかなかった彼に"光"というものを見せた効果がコレだった。
｢Aじょ、…う…ッ…な、んで……っ！｣
｢忘れもの取りに帰ってきたの。そしたら治がこんな状態だったから…！取り敢えずリンタロウの所に行こう！｣
｢ッこのまま……っ、…が、…い、いです…｣
｢でも…｣
｢お…、、ねがい……｣
さて、私は今ニヤける顔を抑えるのに必死だ。一度意識を手放した治がそのあと目覚めたのは数分足らず。治の顔を私の膝に乗せ、茶色い髪に指を絡ましながら、頭を撫でる。壊れ物を扱うように、優しく、優しく。一つの目は包帯で巻かれ、片方の瞳は歪んで私を見ていた。
今の太宰治には太宰治がいない。彼は只の青年にしか過ぎない。崩れる顔、偽りのない疑問で染められた表情。最も警戒する相手に見せる弱み、其れがどういう意味か今の彼には理解し難いだろう。
殺すこと、其れが彼に与えられたマフィアの任務。死ぬこと、其れは彼自身が望む生き甲斐。その二つで構成された太宰治は、今から壊れていくんだ
暗闇で生きてきた彼。光を知らない彼。若、闇しか知らない子供に光を毎日見せたら、其れが当たり前のように認識してしまったら、そのヒトは一体どうなると思う？
たったの数ヶ月。けれど、数ヶ月もの間私は1日も太宰治から離れなかった。そばに居ることを、当たり前にするために。認識させるために。
慣れればこっちのもの。私と行動する事に慣れてきた太宰治は異変する。それが良くも悪くも、どちらも
自分とは違う。また別のものと認識し、考える。然し彼には考えることが出来ても、其の環境さえ違う相手の事など理解し難いだろう
而して心の中に変化が訪れる。
｢とりあえず、私の部屋に行こう。話は其のあとで聞かせてね…！｣
時間は、有り余るほどあるのだから――
▪ ▪ ▪
完全に気を失っている治をキングサイズのベッドに寝かしてやった。当分目を覚まさないだろうから取り敢えずパパに連絡を送った。
彼がこうなる事は予想内だった。だから態々戻ってきたのだが彼の人には何も云っていなかったと思い出したからさ。そしたら直ぐに返事が返ってきた。パパは話がわかる人だ。私の云う事は大抵聞いてくれる。今回の外出も久しぶりであったが十分に楽しめたから、お互い不満などない
私の部屋には誰にも寄越さないように伝え、彼が目覚めるのを私は待つとしよう
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竹薮 - 面白いです。個人的に夢主が怖くて好きです。更新頑張って下さい。応援してます！ (2018年2月17日 13時) (
レス) id: 9078c77c1b (このIDを非表示/違反報告)
黒桜姫(プロフ) - 七葉さん» 有難うございます。早く原作突入出来るように頑張りますね (2017年12月6日 23時) (レス) id: 5de5d502f1 (このIDを非表示/違反報告)
七葉 - 続きがとても気になります!楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2017年12月5日 21時) (レス) id: 88ee75b376 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒桜姫 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月5日 2時
