BADENDを最高の幸せに kwkm ページ15
主人公ちゃん失恋ネタです。ご了承ください。
『幼馴染』
その関係以上を望んでも手は出さなかった。だってこの関係が終わるのは辛いから。何より、いつか君が私にそれ以上の関係を求めてくれると自惚れてたから。
でもそんなに綺麗に物語は進まなくてさ。
「俺、結婚すんねん。」
唐突に発された言葉。でも予想はしてた。
「おめでとう、拓郎。」
私に涙を流す資格なんてない。それがせめてものケジメだから。
「一番最初に伝えたかってん。」
あぁ、なんでそんなこと言うかな。
そっか、『幼馴染』だからか。
「一番か……ありがとう拓郎。幸せになってね。」
「うん、ありがとう。」
今の私、笑えてたかな?
そんな話をした秋の夕暮れ。帰宅したらもう夏の蒸し暑さもない涼し気な夜。
「……ッ」
一度漏れた嗚咽は止まらなくて。
「拓郎ツ……」
馬鹿な私。自分の中で描いていた物語は呆気なく散って、シンデレラ・ストーリーになると思ってたけど、でも違くて。
いつか絶対手を差し伸べてくれると思ってた。だって幼馴染だもん。
いや、違うか。
自分から手を伸ばさなかったんだ。伸ばさなきゃ物語なんて始まんないんだよな。
きっと拓郎の好きな人はゼロから始まって勇気を出して伸ばした手が、拓郎と結ばれたんだ。
私はどうだろう。ゼロじゃない、偶然幼馴染になれただけ。それだけなのにさ。
惨めな気持ちになっても現実は変わらなくて。
そうだ、馬鹿な私は今日でさよならすればいいんだ。
そう、今日までだから。
「ウッ……」
出した涙を引っ込めて。
そうだ、明日はヘアサロンへ
それでその後買い物に行って
帰ってきたら部屋の掃除をしよう
「おやすみ」
誰もいない部屋に1人でそういうのは毎日のことで、でも今日は違う。
「おやすみ、馬鹿な私」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「拓郎結婚おめでとう。」
「ありがとう。髪の毛バッサリ切ったやん。」
「そうだよ。似合ってる?」
「うん。似合ってるで。」
「ありがとう!拓郎もカッコイイよ!結婚して大変だろうけどちゃんとお嫁さん幸せにするんだよ!」
「言われなくても。」
君に褒められた私なら、きっとこの先頑張れるよね。
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作者名:しろまる | 作成日時:2019年8月6日 14時