糸と月 ページ9
悟くんに呼び出されて向かったいつものホテル。
1ヶ月ぶりのそれに少し緊張する。
教えてもらっていた部屋のベルを鳴らすと、悟くんはドアを開けてすぐ私の腕を掴んで部屋に連れ込んだ。
そのまま少し痛いくらいの勢いでドアに押し付けられると、付けていたアイマスクを外して、代わりに私の目を隠す。
「悟くん？」
“機嫌悪い？”
そんなことを口走る余裕も無いくらい、すぐに噛み付いてきた唇。
強制的に開かされたそこに舌を捩じ込んできて、更に私の両手を片手でまとめ上げると強い力で掴んで離さない。
それとは反対に、焦らすように、愛でるように、耳、頸、首筋を撫でる彼の指先は割れ物に触れるかのように優しい。
その間にも、脳内にはキスの音が響いていて心もカラダも溶かされる。
久しぶりなのと、見えないせいで何をされるかわからないドキドキ感も相まって、カラダが彼を求めて疼いてしまう。
「んﾝ…はぁ、悟くん」
たまらず彼の名前を呼ぶと、すーっと背中を撫でて服の上からブラのホックを外した。
締め付けが無くなった胸がふわっと重くなると、そのまま服と一緒にブラも胸上までたくし上げられて、上半身が露わになった。
恥ずかしい…けど、下から持ち上げられるように揉まれると一気に幸福感で満たされる。
…気持ちイイ。
彼の匂い。
彼の骨ばった男性らしい指。
彼の熱くなった吐息。
五感の１つを奪われるだけで、感じるもの全てに敏感になる。
『Aっ』
切な気に私を呼ぶ悟くんの声にすら反応してしまう。
悟くんの全部が愛おしい。
…愛されたい。
いつの間にか解かれた両手で見えない悟くんに触れる。
胸板…撫であげるようにして首に腕を回すと後頭部を捕まれる。
今日、悟くんに何があったのかはわからない。
どうして不機嫌なのか、わからなくてもそれでいい。
彼があの人じゃなくて、私を選んでくれたことが嬉しい。
たとえそれが捌け口であったとしても。
チュっと音が聞こえると離れる唇。
お尻の下に手が回りそのまま軽々持ち上げられると悟くんに抱っこされる。
前が見えないせいで反射的に感じる恐怖に慌て、目の前の体に抱きついた。
『…ベッド行こうか』
「うん」
もし“月が綺麗ですね”って窓が無いこの部屋で言ったら、その意図に貴方は気づいてくれるかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 299人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みりん(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます！少しずつですが更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (10月8日 12時) (
レス) id: 2cc8f9020a (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 更新楽しみにしてます（ ; ; ） (9月1日 23時) (レス) id: efd535f18d (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - りのさん» はじめまして、りのさん！こちらこそご愛読頂きありがとうございます！不定期な更新ですが、引き続き楽しんで貰えたら嬉しいです！ (6月1日 23時) (レス) id: 0db1b6b410 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして！素敵な作品ありがとうございますっ！更新が楽しみですー！みりんさんのペースで更新頑張ってくださいねっ応援してます！！！ (6月1日 1時) (レス) id: 9e437dd1e0 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - ああさん» ありがとうございます！曲を知ってる方にも喜んで貰えてて嬉しいです！これからも楽しんで貰えたら幸いです！ (5月25日 15時) (レス) id: 76f1e1d2b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みりん | 作成日時：2022年12月16日 8時
