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第4話 ページ5

その時、その少女と目が合ったようなきがした。
そして気づいた。
綺麗と感じたその瞳は濁っていて光を通してないことに。

その子の容姿に今までにないぐらいの額があがる。
どんどん上がっていく価値をよそに、僕は森さんに声をかけた。

「森さん。あの子。」
「ふむ、太宰君もあの子がいいと思ったのかい?」

その言葉にコクリと頷く。
「も、」っと言うことは森さんも気に入ったのだろう。

《落札!!205番落札です!!!》

どうやら買取手が決まったらしい。

買い取られたその子はステージ裏に連れていかれた。
多分受け渡しはこのオークションが全て終わった後だろう。

「取り敢えず、最後まで見ようか。」
僕があの子の所に早く行きたいのに気がついたのだろうか。そう言われ、心を落ち着かせる。

僕が他人に対し、こんな気持ちになるのは初めてだ。
あの子は普通の子と違う気がした。
なぜそう思ったかはわからない。
ただ、今はあの瞳をもう一度見たい。そう思う。

オークションも終盤まで迫ってきた。アレから運ばれてくる子どもを見るが、最初と同じように、ピンとくる子はいない。

やっぱりあの子だけだ。
「森さん。」

「あぁ、そうだね。」
僕の言いたいことが分かったのだろう。
森さんは静かに席を立つと会場から出ていく。僕もそれを追った。

ロビーに出ると子どもを買い取った人だろうか、数人が待ち合い席で待っている。

その人たちを通り過ぎ、外に出た。

「太宰君、どうする?私があの子を連れてくるまで待っているかい?」

人通りの少ない道を歩き、1台の車が止まっているところに着いた。

「ううん。僕も行くよ。」
そう言うと森さんは僕の頭を撫でてきた。
「ちょっ!なにするのさ!」

急なことに驚くも、
たまにこうやって頭を撫でられる事がある。

「ふふ、いや、太宰君が珍しく興味を持ったものでね。つい嬉しくて。」

それは、まぁ...自分でもここまで...心を動かされたのは...じ、さつ以外初めてだと気づいている。

未だ撫で続けている森さんの手をどける。
「もう!早く行きますよ!」

恥ずかしさを隠し、森さんの服を引っ張る。
「はいはい、わかったから。」
森さんは苦笑しながら着いてきた。

行先はわかっているとは思うが、あの子の買取手の所だ。
買取が完了した所を狙う。


もうすぐまた、あの子に会える。
早くあの瞳をもう一度見たい。
そう思い心を踊らせた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時

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