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第16話 ページ17

車に揺られるうち、Aは眠たそうにしていた。
まあ、今日は色々大変だったし、疲れたのだろう。ただえさえAの体調はあまり良くないだろうに。

僕はゆっくりAの頭を撫でる。
すると、Aは僕に寄りかかってきた。
トントンと、一定のリズムで背中を軽く叩くと、だんだんAの目は降りていく。

そっと抱き寄せ、小さな声でいった。
「A、...大丈夫。寝てもいいよ。」

そう言うと安心したように眠りについた。

「これからは...ずっと一緒だよ。」

彼女には聞こえてないだろう。
けれど、Aはそれに反応したかのように僕の胸に擦り寄ってきた。


「太宰君、太宰君。」

森さんが話しかけてきたことにより僕の機嫌は急降下。

「なんです、森さん、A寝てるので静かにしてください。」

森さんは眉を下げてボリュームを小さくした。

「首領からの伝言でね、Aちゃんの治療が終わったら連れてくるよう言われちゃった。」

そう言い、申し訳なさそうな顔をした。

「だからその前に、Aちゃんがさっき言ってた《聞こえる》事について詳しく聞きたいんだよ。」

これは...僕に聞き出させるつもりだ。

「頼めるかい?」

僕がしなければ、森さんか、最悪の場合知らない奴を使って聞き出すだろう。

「うん。僕がする。詳細を聞けばいいんだね?」

森さんはニッコリ笑って言った。

「そうだよ。よろしくね。」

僕は視線をAに戻し、また、頭を撫でる。

Aは僕が守るって約束したから...。
知らないヤツらなんかに渡さない...。

いくらポートマフィアとは言え、僕はまだ、構成員じゃない。
なのに、そこに、まだ何も知らないAを放り投げるなんてできない。

少しだけ強くAを抱きしめる。

揺られること数分。
目の前には大きな建物。

やっと帰ってきた。

Aを起こさないよう、ゆっくり降りて医務室に行く。

何人かの構成員が通り過ぎる時にチラチラとこちらを見ていた。

おおよそ、Aの事でも見ているのだろう。
確かに白い髪は目立つし、そうじゃなくてもAは可愛いから......

「はぁ...」
なんだろう...もやもやする...

感じたことのない気持ちをおさえ、
医務室に入り、ベットにAを寝かせる。

目を閉じて眠っているその姿は、とても綺麗で、それでいて、消えてしまいそうな気がした。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時

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