第11話 ページ12
「却説、そろそろ行こうか。」
そう言い、森さんは立ち上がる。
それに続くように治くんも立ち上がった。
そして、手を差し出された。
その手を掴み、ゆっくり立ち上がる。
それと同時にズキリと左足が痛んだ。
「大丈夫?...歩けるかい?」
治くんが心配そうな顔をする。
「だい、じょうぶ。あるけるよ。」
そう言い、治くんに連れられゆっくり歩く。
痛い左足に気づかれないように。
そう思ってるとふと、治くん立ち止まった。
「森さん、ちょっと待って。」
前を歩く森さんに声をかけてから、私の方を向いた。
「A、座って。」
そう言われ大人しく座る。
ここはまだ、道の途中。人はいない...。
どうしたのだろうか...
そう思っていると、治くんは私の左足を触ってきた。ちょうど足首の所を。
「っ......」
ズキリとした痛みに顔を歪める。
「捻挫...かな、骨は折れてないと思うけど、...森さん、ちょっと見てあげて、」
そう言われた森さんは私の足にそっと触れた。
「ふむ。...太宰君の言う通り、捻挫だろう。歩くのも辛いはずだ。」
そう言われた。すると、治くんは自分の手に巻いてある包帯を解き、私の足首に巻いた。
「僕の使ってたのでごめん。帰ったらちゃんと治療ね。一応、応急処置。」
キュッと包帯を結び終わると今度はそのまま、私を抱き上げた。
「ぇっ?...」
突然の事で戸惑っている私に、
「ん?...その足で歩かせるわけないでしょ。」
そう言った。
そして、少し早歩きで路地を抜けた。
そこには黒い車が1台止まってた。
車の前に立っていた男性は森さんと治くん、そして、私を見て頭を下げた。
ドアを開けられ中に入れられる。
座る位置は何故か治くんの膝の上。抱き上げられた形のまま座らされた。
そして、まもなく車が動いた。
揺られる車に何だか、眠くなってくる。でも、こんな所で寝ちゃいけない。...森さんも治くんも寝ていない。
そう思ってると治くんが優しく頭を撫で始めた。
私は少しだけ治くんに寄りかかる。
トクン、トクンと、規則正しい音が聴こえる。治くんの心臓の音だ。
その音がなんだかとても安心した。
だんだんと目が閉じていく。
「A...大丈夫。寝てもいいよ。」
そう言った治くんの声を最後に、私の意識はきれた。
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時